第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

胎児心臓病学

ポスター発表(I-P02-2)
胎児心臓病学2

2024年7月11日(木) 14:20 〜 15:20 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:三好 剛一(国立循環器病研究センター 研究振興部)

[I-P02-2-02] 新生児危急的先天性心疾患に対する二次医療機関としての当院の役割

山下 定儀1, 荒木 徹2 (福山医療センター)

キーワード:胎児診断, 新生児危急的心疾患N-CCHD(Newborn-Critical Congenital Heart Disease), 新生児期外科的治療

【背景】当院は近隣地域唯一の地域周産期母子医療センターだが、新生児危急的心疾患:N-CCHD(Newborn-Critical Congenital Heart Disease)の治療には高度医療機関へ搬送する必要がある.【目的】N-CCHDに対する当院の役割を明確にする.【対象】2001~2023年におけるN-CCHD90例.【検討項目】疾患群としてDDS群(体循環動脈管依存性疾患)・ TAPVC群・TGA群・DDP群(肺循環動脈管依存性疾患)・LR短絡群に分類した.項目A:胎児診断N-CCHD(26例)の新生児期外科治療介入と転帰について、項目B:出生後診断N-CCHD(64例)の各疾患群での管理についてそれぞれ検討.【結果項目A】対象期間での胎児心臓超音波検査数241例中N-CCHDは26例(11%).当院出生した染色体異常3例を除く23例(他院出生22例・当院出生1例)のうち、新生児期外科治療介入は19例(83%)、初回入院死3例(13%)で外科的治療適応はなく、また初回退院できなかった例は染色体異常と症候群が多数を占めた.【結果項目B】症例数は対象期間前半(2001~2013年)の割合が高かった.DDS群・TAPVC群は紹介までの日齢が遅い例が散在し、入院時にショック例も多く管理困難例があった.TGA群は診断日も早く、当科入院期間も短期であった.DDP群・LR群は当院でも外科的治療まで安定した長期管理が可能であった.【考察】胎児診断N-CCHDで実際に新生児期外科的治療介入が必要であった例は高率で、また非N-CCHDと胎児診断したCHDのうち当院で出産後、初回退院までに治療介入が必要となった症例はゼロであった.以上より当科の胎児心臓超音波検査の成果としては十分であると判断した.出生後診断N-CCHDではDDS群・TAPVC群・TGA群は状態が安定次第早急な転院を計画し、DDP群やLR群は当院で可能な限り入院管理の継続を心掛けた.【結語】N-CCHDに対して安全な分娩場所を選択し、近隣で出生した児の管理を安全に行うことが当院のような二次医療機関でも重要である.