[I-P02-2-05] 胎児心臓超音波検査から見る双胎児心疾患発症リスク
キーワード:胎児心臓超音波, MD双胎, DD双胎
【背景】双胎では単胎より先天性心疾患の頻度が高く、特に一絨毛膜双胎ではそのリスクが高いことが報告されている。その原因としては血管吻合による胎盤を介した血流の不均衡が関与していると推測されている。今回当施設で胎児心臓超音波検査を施行した症例から単胎児、双胎児間の心疾患有病率、一絨毛膜二羊膜(MD)双胎及び二絨毛膜二羊膜(DD)双胎間での心疾患有病率を、診療録から後方視的に比較した。【方法】当施設小児循環器科で2014年から2023年の間に当院で胎児心臓超音波検査を施行した1014例を単胎、双胎に分けた後、さらに双胎をMD双胎、DD双胎に分け有病率を調べた。【結果】単胎878例のうち心疾患有病者332例(37.8%)、MD双胎57例のうち心疾患有病者は14例(24.6%)、DD双胎79例のうち心疾患有病者は6例(7.5%)であった。MD双胎・DD双胎間での比較ではp値=0.012<0.05,OR=3.96(95%信頼区間1.42~11.07)となりMD双胎での有病率が有意に高い結果となった。合併した先天性心疾患は、MD双胎で心室中隔欠損5例、大動脈下左無名静脈3例、三尖弁閉鎖不全3例、右肺動脈低形成2例、右心不全1例、上室性期外収縮1例、DD双胎では心室中隔欠損5例、心臓腫瘍1例であった。また双胎の両方に心疾患があったのはMD双胎で1組、DD双胎で1組のみであった。【考察】前述の通りMD双胎で心疾患が多い原因として胎盤血流の不均衡が関与していると言われているが、遺伝子が同一であるMD双胎において双方が心疾患を発症している組が少ないことも血流不均衡が原因である可能性(環境要因)を支持すると考えられた。MD双胎の疾患内訳を見ると、双胎間輸血症候群と診断された症例はなかったが先天性心疾患で最多の心室中隔欠損を除けば三尖弁閉鎖不全や右肺動脈低形成など右心系異常が多く見られた。またDD双胎についても先天性心疾患の一般的な頻度や既報よりも有病率が高く、双胎自体もリスク因子の一つと考えられた。