[I-P02-2-06] 胎児期よりCircular shuntを認めた重症Ebstein3例の出生前からの治療戦略と出生後経過
キーワード:Ebstein病, circular shunt, 胎児診断
【はじめに】Circular shunt(CS)を伴う重症Ebstein病の治療方針に、一定の見解はなく、胎児診断3例の治療方針を検討。【症例1】妊娠28週1日に三尖弁逆流(TR)で紹介、Ebstein病と診断。重度TR、肺動脈は順行性、軽度の肺動脈弁逆流(PR)、CSを伴っていた。妊娠30週、CTAR 50%と拡大、右室機能は良好(TR Vp≧3.5m/s)。妊娠38週2日、誘発分娩にて出生。多呼吸および重度TRを認めた。高濃度酸素・NO治療にて加療。6日目に動脈管閉鎖、TR改善。10日で抜管、1.5ヶ月で退院。【症例2】妊娠32週2日に胎児心肥大で紹介、Ebstein病と診断。重度TR、肺動脈は順行性血流、軽度から中等度PR、CSを伴っていた(CTAR 45%、TR Vp≧2.8m/s)。緊急時に備え、予定帝王切開の方針。妊娠38週1日、帝王切開にて出生。出生後、左室の著明な収縮低下、CSを呈していた。呼吸管理および強心剤投与、左室収縮低下の改善を認めず、ECMO導入を行ったが改善なく、DICおよび頭部の広範囲出血もありECMOを中止し、永眠。【症例3】妊娠24週6日に心拡大で紹介、Ebstein病と診断。重度TR。肺動脈弁に順行性血流はなく機能的肺動脈弁閉鎖と診断、軽度PR、CSを伴っていた。様々な病態に備え、予定帝王切開の方針。妊娠31週6日、中等度PRに悪化、心拡大の進行 (CTAR=55%、TR流速:3m/s、LVEF=60%)。妊娠36週3日、帝王切開にて出生。左右心機能は維持、CSを伴っていた。高濃度酸素・NO治療を行い、順行性肺血流を増加する方針(一方で緊急手術に備えた)。動脈管による肺血流増加型心不全が顕在化、CSによる心機能の悪化も認めた。生後12時間で動脈管結紮術、以後順行性肺血流が出現。生後24時間で再開胸が必要であったが以後改善。8日目に閉胸、26日目に抜管、2ヶ月で退院。【考察】CSを伴うEbstein病に対する胎児診断は、心機能評価を慎重に行い、計画的に分娩することで、出生後の様々な病態に対応することが可能で治療方針決定に有用であると思われる。