[I-P02-2-08] 心室中隔欠損症を合併した低出生体重児の解析
キーワード:低出生体重児, 心室中隔欠損症, 肺高血圧
【背景】早産低出生体重児に合併した心室中隔欠損を合併した場合の経過については 定まった知見がない。低出生体重児は未熟な状態で出生することが多く、呼吸循環の問題が安定せず、治療介入が必要である。それに加えCHDを合併した場合には、発育に悪影響を及ぼす可能性が高いと考えられる。そこで、simple CHDを合併した低出生体重児の後方視的な検討解析を行った。【目的】VSD合併低出生体重児の病態を明らかにすること。【方法】2013年4月-2023年12月に当院NICUへ入室したCHD合併低出生体重児44例から複雑心奇形のVSDを除き、当院外来で経過を1才までことができた21例を対象に病歴、心エコーデータ等を後方視的に検討解析した。【結果】1000g以下:1000-2000g:2000g-2500gの群に分け解析した。症例数はそれぞれ4:9:8例ずつで、1000g以下は自然閉鎖(SC):shunt残存(R):手術による根治(Ope)=2:1:1例で自然閉鎖はNICU退院前に自然閉鎖を確認し、手術症例は3kgで手術となった。1000-2000gの群はSC:R:Ope=4:2:3例 2000g以上もSC:R:Ope=11:5:5例であったが、この2群のCaseはNICU入院中に体重増加不良で手術の症例はなかった。どの群もNICU退院までにエコーでの圧格差が増大しない症例が多かった。【考察】心臓超音波検査のデータで左室右室間の圧格差から、低出生体重児においてある程度の肺高血圧残存が続き、VSDにおけるシャント量が制限されていた。結果として、高肺血流量による心不全を抑制する血行動態と考えられた。しかし、染色体異常に伴うCHD患者はEisenmenger化がそのまま急速に進行していく懸念もあり、肺血管抵抗や血行動態把握のための心臓カテーテル検査などの評価するtimingを逃さないことも重要である。単施設のデータであること,症例数が少ないことのlimitationがある。【結論】低出生体重児にVSDの合併があっても、高肺血流による心不全は抑制されている可能性が高い。