[I-P02-3-05] 複数の造影剤に対してアナフィラキシーを起こし、造影剤の選択や血管造影において工夫を要した症例
キーワード:血管造影, アレルギー検査, ガドリニウム造影剤
【背景】造影剤によるアナフィラキシーショックを起こした児に対して同じ造影剤を使用することは避けるべきである。繰り返しカテーテルが必要な状態で複数のヨード造影剤に対してアレルギー反応を起こした症例を経験したため報告する。【症例】2歳女児。TAPVR術後に4本の肺静脈の狭窄を来し、生後3か月からバルーン治療を開始した。再狭窄に対して1か月毎の治療を要した。カテーテル7回目にiopamidolによるアナフィラキシーショックを起こした。iohexolのプリックテストと経静脈投与でアレルギー反応を起こさないことを確認し、以降のカテーテルにはステロイド、抗ヒスタミン薬の前投薬をした上でiohexolを使用した。その後左上肺静脈と左下肺静脈にステントを留置した。カテーテル20回目にiohexolによるアナフィラキシーショックを起こした。ガドリニウム(Gd)造影剤のgadobutrol使用につき院内の倫理委員会の承認を得て、カテーテル21回目でgadobutrolを使用して左下肺静脈遠位にステントを留置した。Gudobutrol 0.4mL/kgを3倍希釈して使用し、バルーン拡張には2倍希釈したgudobutrolを用いた。コントラストが低いもののステントの位置決定には有用であった。カテーテル23回目ではioversolが使用可能となったためアレルギー検査で陰性であることを確認し、以降はioversolを使用している。【考察】造影剤への急性反応はヨード自体へのアレルギー反応ではないことが多く、アレルギー検査を併用して他種のヨード造影剤を用いることが可能である場合がある。Gd造影剤を血管造影に用いる場合、使用量が限られること、コントラストが低いことなどのデメリットがあるものの、一定の評価は可能である。今後ioversolに対してもアレルギー反応を起こす可能性があり、IVUSなど他のモダリティを併用し、造影剤を用いずにカテーテルを行う方法も検討している。