[I-P02-3-06] 小児循環器領域でのガリウムシンチグラフィ ~当院における12年間・282件が語ること
キーワード:ガリウムシンチグラフィ, 心臓移植治療, FDG-PET
【背景】ガリウム(Ga)シンチグラフィは腫瘍・炎症シンチグラフィ製剤として臨床に広く用いられているが、小児領域では悪性腫瘍の検索が主で、小児循環器分野では感染性心内膜炎の評価以外の用途が少なく、適応疾患や有用性などに関する報告も少ない。 【目的】今回、Gaシンチグラフィの実施背景、有用性、近年の動向を把握するため、当院における2012年1月より2024年2月までの約12年間で、ガリウムシンチグラフィを実施した症例を後方視的に検討した。 【結果】対象患者は172名でのべ検査数は282件で、一人あたりの実施回数は最大で16回であった。年齢分布:生後1ヶ月から58歳、性別:男性159件/女性123件、体重:2.0kgから95.5kg(中央値30.0kg)、実施背景:術後の感染135例/術後遠隔期の感染121例/手術と関連がない症例26例であった。結果の陽性数は151例、陰性数は131例、陽性率は53.5%であった。結果を受けて治療方針が影響を受けた症例は67例(23.8%)であり、内手術になった症例は27例、抗生剤中止となった症例は40例であった。また近年重症心不全・心臓移植関連のでの検査(左心補助デバイス感染の検索、心移植後のリンパ腫の検索等)が散見されるようになり、2012年より2017年では6例(2.9%)に対し、2018年から2023年では9例(12.0%)で増加傾向であった。 【結語】当院における約12年間のGaシンチグラフィ実施症例をまとめた。術後症例を中心に約1/4の症例で治療方針に大きな影響を与えており、近年の重症心不全治療においても必要なmodalityであり現在も有用と判断したが、被ばくの大きさが懸念点である。同一患者での複数回検査をなるべく少なくする検査方針や、保険適応外になるが被ばく線量の少ないFDG-PETの利用が望ましいと考えられた。