[I-P02-3-07] CMRによる心臓軸と12誘導心電図での心臓軸からみた心房中隔欠損症
キーワード:ASD, CMR, 心電図
【背景】心房中隔欠損症(ASD)におけるrsR'パターンは短絡による右室拡大のため、最も右室内で興奮遅延が生じる辺縁肉柱が前方へ偏位することにより生じるとされる。心臓MRI(CMR)から得られる心臓軸および右室拡大の程度と、体表面心電図(ECG)のQRS軸および波形との関連を明らかにしたい。【方法】対象はCMRとECG、心臓カテーテル検査(Cath)を実施したASD患者。CMRで大動脈-心尖部軸(AV-axis)をXYZ軸で算出し、AV-axisに直行する中隔-自由壁径(SW-distance)を測定した。またQRS軸、V1R'/r波高およびその比率を計測した。CMR、ECG、Cathの計測値の関連について検討した。【結果】対象30例(女18例)。ASD径16.7(13.8-20.2)mm。QRS軸 86(74-96)°、V1r 0.3(0.2-0.5)mm、V1R’ 0.8(0.5-1.1)mm、V1R'/r比 2.1(1.0-4.1)であった。AV-axisのXYZベクトルは、19(14-26)°、72(64-77)°、43(39-46)°。SW-distanceは38.4(35.0-43.8)mmだった。AV-axisは、XZ面(冠状面)ベクトルとQRS軸に相関はなかったが、XY面(水平面)ベクトルとに相関がみられた(R=0.61)。体表面積で除したSW-distanceはV1R’と相関した(R=0.54)。ASD径やCathにおける圧・容量負荷、肺血管抵抗との関連は示せなかった。【考察】ひとえに右室拡大といってもXY平面や、XZ平面へ拡大など様々である。右軸偏位は、XY平面前方への右室拡大と中隔ベクトルの前方偏位に関連し、V1R’高はXY面で心室中隔に直行した右室拡大に関連するが、圧負荷・容量負荷の推定には至らず、ASD閉鎖の前にはやはり右心カテを行っておくべきと考えた。