第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター発表(I-P02-3)
画像診断2

2024年7月11日(木) 14:20 〜 15:20 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:本田 崇(北里大学医学部小児科学)

[I-P02-3-08] 心臓腫瘍の組織診断におけるCMRの有用性とT1 mappigの可能性

岡本 健吾, 中川 直美, 重光 祐輔, 岸本 禎広, 片岡 功一, 鎌田 政博 (広島市立広島市民病院)

キーワード:T1 mapping, 心臓腫瘍, CMR

【背景】横紋筋腫は小児心臓腫瘍のうち最も頻度が高い。自然退縮が期待されることに加え、エベロリムスが有効との報告もなされており、その組織診断は重要である。【症例】胎児心エコーで心臓腫瘍を指摘。在胎38週0日、3093gで出生。結節性硬化症を疑う他病変や家族歴はなし。心エコー、造影CT、血管造影から腫瘍は内部が均一な最大28mmの単発性腫瘍で、左室自由壁から発生していた。左室、左房を圧排していたが、血行動態は保たれていた。これらの所見から横紋筋腫または線維腫が組織型として疑われ、両者の鑑別のため造影CMR(撮影装置:Siemens MAGNETOM Skyra)を施行した。腫瘍内部は比較的均一で境界明瞭、T1、T2強調像ともに軽度高信号で、脂肪抑制効果なく、遅延造影効果は認めなかった。native T1値は正常心筋部で1555ms、腫瘍部で1425msであり、腫瘍部のECVは27.7%だった。上記より腫瘍は横紋筋腫の可能性が高いと考えエベロリムスの投与を開始した。治療開始2ヶ月で腫瘍は18mmまで縮小しエベロリムスを終了、月齢13で更に7mmまで縮小している。【考察】横紋筋腫の90%は多発性とされているが、単発性の場合はT1、T2強調像での画像所見は線維腫と重複する部分が多く鑑別は容易ではない。造影を行うことで、線維腫では腫瘍内部の線維化を反映し遅延造影像が高信号を呈すのに対し、横紋筋腫は低~等信号となるとされ鑑別に有用である。T1 mappingは組織性状をピクセル毎に定量評価することが可能で、線維化が進むとnative T1値、ECVともに増加する。本症例では腫瘍部のnative T1値は正常心筋部より低く、ECVの上昇も認めず、T1 mappingからも線維腫は否定的と考えられた。【結論】CMRは心臓腫瘍の組織診断に有用で、T1 mappingは診断精度を向上させる可能性がある。native T1値は非造影で計測可能であり、侵襲低下にも寄与するかもしれない。