第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

カテーテル治療

ポスター発表(I-P02-4)
カテーテル治療2

2024年7月11日(木) 14:20 〜 15:20 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:杉山 央(大阪市立総合医療センター 小児循環器不整脈内科)

[I-P02-4-02] カテーテル治療翌日に急性腎不全・致死的不整脈を来しCHDF管理を要した1例

梶本 昂宏, 辻井 信之, 野上 恵嗣 (奈良県立医科大学附属病院小児科)

キーワード:カテーテル治療後, 急性腎不全, 電解質異常

【背景】カテーテル治療の合併症としては、血管の損傷や心不全など循環器系の合併症に加え、造影剤投与等による急性腎障害も発症しうる。【症例】ファロー四徴症に対してBTシャント術後の男児。合併症としてVACTERL連合と一側腎低形成がある。生後9か月時にSpO2が低下してきたため、BTSに対してPTAを行った。治療前後でシャント最小径は多少拡大するも、SaO2値に変化は見られなかった。カテ後、翌日朝までは十分に排尿があり、比較的活気良好であった。しかし翌日朝からは排尿がなく、活気不良となった。同日13時に意識状態の悪化が出現した。診察時心エコー所見では心嚢液貯留や収縮不良を認めなかったが、血液ガス所見ではpH 6.78,HCO3 12.2, BE -23.6, K 8.3と著明な代謝性アシドーシスおよび高K血症を認め、ICU入室した。ICU入室直後にVFを反復し、2度の心肺蘇生を要した。さらに無尿となったため急性腎不全と診断し、3週間のCHDF管理を必要とした。腎機能は急変後完全には回復せず、CKDステージ3の慢性腎不全となった。その後1歳5か月時にICRを施行した。術後PSが残存したため、1歳11か月時にPSに対して再度PTAを行った。その際はカテ前から十分な補液を行い、造影剤投与を最低限とすることで治療後の急性腎不全発症を予防できた。血清クレアチニン値は緩徐に回復しつつあるが現在もCKDステージ3の慢性腎不全が持続しているため、外来で経過観察中である。【考察】本症例では片腎による潜在的腎機能低下に加え、造影剤投与後腎障害、治療に伴う体血流の減少、カテーテル治療のストレスに起因する副腎機能低下等が複合的に関与し、急性腎不全と致死的電解質異常を来したと考えられる。カテーテル治療では心不全に加え、急性腎不全にも留意する必要がある。