[I-P02-4-07] 姑息的経皮的肺動脈弁バルーン形成術を行ったconal septal hypoplasiaを伴うファロー四徴症の4例
キーワード:conal septal hypoplasia, ファロー四徴症, 経皮的肺動脈弁バルーン形成術
【背景】ファロー四徴症(TOF)姑息術としての経皮的肺動脈弁バルーン拡張術(BPV)の有効性は確立していないが、 conal septal hypoplasia(CSH)を伴うTOFにおいては、右室流出路筋性狭窄が軽度であるため、BPVの有効性が高い可能性がある。【目的】CSHを伴うTOFに対するBPVが、BTシャント術(BTS)を回避できるか検討すること。【方法】当院で2010年から2023年にBPVが行われたCSHを伴うTOFの症例を診療録より後方視的に検討した。【結果】対象患者は4例、全例男児、年齢1~3歳。非BTS群の1例は心内修復術後遠隔期に突然死した。BTSなしで心内修復術(ICR)に到達した症例が2例(非BTS群),BTSを要した症例が2例(BTS群)であった。非BTS群の1例は3か月でBPV後,10か月でICRを行った。もう1例は2か月と8か月でBPV後,9か月でICRを行った。BTS群の1例は0か月と3か月にBPV後,4か月でBTSが行われ,1歳3か月でICRに至った。もう1例は2か月,5か月時にBPV後,5か月時のBTSを経て1歳4か月時にICRを行った。BTS群2例は、BPVでチアノーゼの改善がなく、BPV後1か月前後でBTSが行われた。4例とも肺動脈弁輪温存はできず,一弁付きパッチを用いた弁輪拡大手術が3例に,Rastelli手術が1例に行われた。非BTS群ではBPV前のPA indexが高値であった(661, 132 vs. 66, 84)。BPV前の肺動脈弁輪径は非BTS群が4.4 mm (Z -4.0), 5.7 mm (Z -2.7),BTS群で3.4mm (Z -4.8), 4.2mm (Z -4.0)であった。【考察】CSHを伴うTOFでは筋性の右室流出路狭窄の寄与が少ないため、BPVの有効性が高いことが報告されているが、今回の検討では,BPV後半数にBTSを要した。BTS群ではPA indexがより低値であったことから,肺血管床が乏しい症例では BPVの効果が乏しい可能性がある。一方、BTS群においても乳児期早期の外科手術は回避可能であった。【結論】CSHを伴うTOFであっても、肺動脈が低形成の場合は、BPVの効果が乏しい可能性がある。