[I-P02-4-09] 遺残短絡によるフォンタン循環不全として遠位型冠動脈瘻及びBTシャントにデバイス閉鎖術を施行した一成人例
キーワード:遠位型冠動脈瘻, デバイス閉鎖, フォンタン循環不全
【はじめに】ACHD例では時代背景や複数介入から複雑な病態が介在する。今回、遠隔期に判明する遺残病変に対しカテーテル治療が有効であった症例につき報告する。【症例】39歳女性。原疾患は大動脈弁狭窄症、純型肺動脈閉鎖症。左右BTシャント術後、大動脈弁狭窄合併のため治療適応につき観察方針で管理された。12歳に治療目的で紹介され、大動脈弁置換、グレン手術を施行。1年後にECフォンタンに到達。到達後のCVPは12mmHgだった。外来観察中、心エコーで僧帽弁逆流やや増加を認めるのみ。到達16年、ACHD外来移行時のカテーテル検査でCVP18-20mmHgと上昇、左肺動脈でのO2 step upを認めた。到達19年にエコーで大動脈人工弁狭窄を認め、カテーテル検査施行。CVP28mmHg、PCWP22-26mmHg、Qp/Qs5.8。造影CTでは大動脈と非連続の左BT遺残が疑われた。また肝硬変所見を認めた。遺残BTは術前処理が望まれたがアプローチ困難と短絡少量の推測から放置、肝機能はChild Bであり手術方針で家族と相談。呼吸困難、DC有効の心房細動を来たし搬送入院となり、安定化の後に再弁置換とfenestration作成術を施行。術中CVPは15mmHgだった。術後1年でのカテーテル検査にてCVP20mmHg、fenestration閉鎖、遠位多発型冠動脈-肺動脈瘻を認めた。出口となる主肺動脈部のバルーン閉鎖試験を行うとCVP低下を認め、心電図変化は認めないためAVPII を用いた閉鎖と肺動脈から遺残BT逆行性閉鎖術を施行。左肺動脈SaO2は91→79%へ低下した。閉鎖1年後のカテーテル評価でCVP11-13mmHgに改善を認めNYHAが2から1へ改善した。【考察】手術での遺残シャントや経過中に発生する側副血管が病態悪化に繋がる場合がある。成人フォンタン循環では定期精査を行い、本人の受容も含め要否、可否など十分に検討し、治療を行う必要がある。【結語】フォンタン循環不全を来たす遠位多発型冠動脈瘻およびBTシャント遺残の成人例にデバイス閉鎖術を施行し有効であった。