[I-P02-6-07] Coronary artery origin abnormalities: optimal surgical timing and treatment of asymptomatic cases
Keywords:冠動脈起始異常, 左冠動脈右冠動脈洞起始症, 突然死
【目的】冠動脈起始異常と診断された症例の診断、治療時期につき検討すること【方法】2012年1月から2024年2月までの間に、心内構造異常を認めず、BWG症候群を除く冠動脈起始異常と診断された11症例を対象とした。症状、検査所見、手術所見を後方視的に検討した。【結果】以下中央値を示す。冠動脈起始異常の診断時の年齢は11.7(1.9-14.0)歳。診断は、左冠動脈右冠動脈洞起始症6例、左冠動脈壁内走行2例、右冠動脈左冠動脈洞起始症1例、左冠動脈口閉鎖1例、単一冠動脈・冠動脈口壁内走行1例であった。診断契機は心エコー検査にて冠動脈起始異常を疑い、カテーテル検査もしくは造影CT検査で最終診断された。胸痛、失神等の症状を呈した症例が6症例(55%)であり、うち2例で蘇生を要した。症状初発時の年齢は11.5(4.0-13.8)歳。無症状の5例は、偶発的な検査にて冠動脈起始異常が診断された。運動負荷試験は年少児を除く9例で施行されST変化は3例(33%)で、負荷心筋シンチ検査は5例で施行され虚血所見を2例(40%)で認めた。冠動脈手術介入は9症例で手術時年齢は12.5(2.6-14.5)歳であった。冠動脈口閉鎖の1例を除いた8例で術中所見で冠動脈起始部の壁内走行を認めていた。期間中に死亡例は認めなかった。【考察】診断は負荷心電図でも陽性率は半数以下であり、無症状例も含め心エコーで冠動脈に注視して本疾患を疑う必要がある。また無症状、低年齢で診断された症例では、治療介入の必要性、至適手術時期を決めることは難しい。当院では突然死のリスクと手術リスクの兼ね合いで症例ごとに手術時期を決定している。突然死リスクのある左冠動脈起始異常症例では、無症状であっても運動強度が上がり症状が出てきやすい小学校高学年までには手術介入を考慮すべきと思われる。【結語】診断後、症状出現時はすみやかに、無症状でも突然死リスクがある症例は小学校高学年までに手術介入を考慮すべきである。