[I-P03-1-04] 胎児期から指摘された右上肺静脈還流異常症とsinus venosus ASDを伴う右下肺静脈還流異常症の一例
キーワード:PAPVR, 胎児エコー, sinus venosus ASD
【緒言】胎児期にPAPVRが指摘されることは極めて少ない。さらに本症例はright upper PVが直接RAに還流し、right lower PVはinferior sinus venosus ASDを形成する稀な形であり経過も含め報告する。【症例】在胎35週で行った胎児心エコーでright upper PAPVR とsinus venosus ASDを伴うright lower PAPVRが疑われていた。在胎38週5日、3295gで出生。出生時の心エコー検査でRV、RAの拡大を認め、inferior sinus venosus ASDを伴うright lower PAPVRは確認できた。しかし right upper PAPVRは確認できず、精査のため造影CTを施行、胎児エコー通りの診断であった。多呼吸や哺乳不良なく日齢6に退院し、外来経過観察を行った。退院後も哺乳不良は見られなかったが、体重増加は緩慢であり、心エコーではRV、RAの拡大は進行し、三尖弁輪径は125% of normalと拡大していた。生後7ヶ月時にカテーテル検査を施行、QP/QS : 3.0で、RVEDV : 181% of normalと高肺血流に伴うRV拡大を認めていた。mean PAPは20 mmHgであり軽度のPHを認めた。PHは軽度であるがRV拡大は強く、発育不良もあるため根治手術の方針となった。生後10ヶ月にRA flopを用いた心房内のreroutingを行った。術後明らかなPVSやPVOはなく発育は良好である。【考案】胎児期から指摘されたinferior sinus venosus ASDを伴う right upper and inferior PAPVRの一例を経験した。カテーテル治療の適応がなく発育不良を契機に手術を行い良好な経過をたどることができた