第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

一般心臓病学

ポスター発表(I-P03-1)
一般心臓病学

2024年7月11日(木) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:中山 智孝(高知赤十字病院 小児科)

[I-P03-1-05] 当院で経験した三心房心の小児例と成人例の臨床像

佐藤 麻朝1, 上田 知実1, 松村 雄1, 嶋 侑里子1, 小林 匠1, 齋藤 美香1, 吉敷 香菜子1, 浜道 裕二1, 矢崎 諭1, 嘉川 忠博1, 和田 直樹2 (1.榊原記念病院 小児循環器科, 2.榊原記念病院 小児心臓血管外科)

キーワード:三心房心, Lucas-Schmidt分類, 先天性心疾患

【背景】日本では三心房心の先天性心疾患の0.13%と稀な疾患である。【目的】当院で経験した三心房心患者の臨床像についてまとめること。【方法】2004年6月から2023年6月までの期間に当院に入院または外来通院した、三心房心の既往のある症例と経胸壁心エコーで心房内隔壁ありと診断した患者について診療録を元に後方視的に検討した。【結果】症例は40名(男20人、女20人)、うち小児例34名(男児16人、女児18人)、成人例で6名(男性4人、女性2人)であった。心房間交通以外の心合併症がない症例が14名(男性6人、女性8人)であった。小児例の診断時年齢は日齢0-4716日、乳幼児例の診断年齢は日齢0-1072日(中央値31日)であった。症状は、乳幼児期発症の心房間交通以外の心合併症のない症例では、心雑音が最多で3人、体重増加不良、チアノーゼ、呼吸障害が2人、学童期以降では学校心電図健診を契機に発見された症例が2名であった。成人例は、不整脈などの精査時の経胸壁心エコー検査で指摘され、三心房心による症状はなかった。病型はLucas-Schmidt分類でIAが19人(成人3名)、IB1が10人(成人2名)、IB2が4人、IIIA2が2人、分類不能/不明が5名(成人1名)であった。その他の心合併症は、左心低形成症候群、部分肺静脈還流異常、両大血管室起始、ファロー四徴症などであった。小児例のうち6名は外科的介入をせずに経過観察のみでフォローされていた。手術後1名が洞機能不全となりペースメーカ挿入された。小児例でPVOを来した症例は1名(2.9%) 、死亡は2名(5.8%)であった。【考察】成人例では既報告同様に不整脈や脳梗塞発症時のスクリーニング検査で指摘され、臨床症状を認めなかった。三心房心は総肺静脈還流異常症とオバーラップする疾患と考えられるが、PVOの合併率は低かった。肺静脈狭窄を来すことは稀であり、三心房心以外の合併症による症状が予後に関係すると考えられた。