第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

一般心臓病学

ポスター発表(I-P03-1)
一般心臓病学

2024年7月11日(木) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:中山 智孝(高知赤十字病院 小児科)

[I-P03-1-06] 当院で経験したヘリコプター搬送を要した小児循環器疾患の検討

山田 洸夢, 本村 秀樹, 石橋 洋子, 石橋 信弘 (NHO長崎医療センター 小児科)

キーワード:航空搬送, 胎児診断, 地域医療

【背景】長崎県は有人離島も多く緊急性の高い症例はヘリコプターで小児循環器医がいる施設へ搬送されることも多い。また、県外の緊急手術が可能な施設への搬送の際にもヘリコプターが使用される。【目的・方法】今後の課題を明らかにするため、2006年から2023年に当科が関与した14歳以下の循環器症例を後方視的に検討した。【結果】期間中に当院に搬送された小児症例357例中、循環器疾患は19例(5.6%)で、内役は先天性心疾患16例、不整脈3例だった。出生後に呼吸障害や酸素化低下を主訴に新生児搬送となった症例は8例で、(TGA2例、CoA/IAA 3例、TOF1例、TAPVC1例、PDA+ASD1例)全例で胎児診断はなされていなかった。飛行距離は平均71km、飛行時間は平均22分、要請から病院収容までは平均77分だった。搬送の遅れや搬送により状態悪化した症例はなかった。当科から他施設へ搬送した小児症例37例中、24例(64.8%)が循環器疾患で、全例が先天性心疾患でありいずれも手術加療目的での搬送だった。診断はCoA/IAA 6例、TGA5例、TAPVC 4例、HLHS 2例、DORV 1例、TOF 1例、PA 1例、AVSD 1例、Ebstein奇形1例、TA1例、trisomy18合併のVSD1例であり胎児診断がなされている症例は6例(25%)だった。飛行距離は平均92km、飛行時間は平均32分、要請から病院収容までは平均74分だった。搬送の遅れや搬送により状態悪化した症例はなかった。【考察/検討】胎児診断ができていない例において、計画的な転院搬送が実施できていない可能性が示唆された。ヘリ搬送が問題となった症例はなかったが、天候不順時や夜間にはヘリ搬送が行えず治療介入が遅れる可能性はある。TGA、CoA/IAA、TAPVCは胎児診断が困難とされるが、それ以外の症例で胎児診断ができれば受け入れ症例の37.5%、他施設への搬送症例の22%で緊急搬送を減らせる可能性がある。胎児診断の精度向上を目指しより計画的な治療介入が望まれる。