[I-P03-1-09] プロスタグランジン製剤投与により肺血流を維持し、一期的手術を行った孤立性一側肺動脈欠損症
キーワード:先天性一側肺動脈欠損症, プロスタグランジン製剤, 肺動脈再建術
【はじめに】先天性一側肺動脈欠損症は、右室から主肺動脈を経て一側の肺動脈にのみ繋がり、対側の肺動脈分岐部が欠損する疾患である。多くは心内構造異常を合併するが、先天性心疾患を合併しない孤立性一側肺動脈欠損症は非常に稀である。肺高血圧や喀血、気道感染のリスクがあり、肺動脈形成術が必要である。今回、孤立性左側肺動脈欠損症と診断し、一期的に肺動脈再建術を行った症例を経験した。【症例】在胎40週1日、3290gで前医にて出生した男児。日齢6に喘鳴、酸素飽和度の低下を認め当院に搬送、心エコーにて右側大動脈弓、右動脈管開存、卵円孔開存を認めたが、その他心内構造異常は認めなかった。しかし、左肺動脈が描出されず、孤立性左側肺動脈欠損症を疑った。プロスタグランジン(PG)製剤点滴を開始後、左鎖骨下動脈から左肺動脈遠位へ繋がる血流を認めるようになり、日齢9に施行した造影CT検査にて同血管を左動脈管と確定した。PG製剤を継続、日齢39に心臓カテーテル検査を行い、右肺動脈径5.1mmに対し左肺動脈径4.0mmと成長を認め、日齢52に自己心膜を用いて左肺動脈再建術を行った。術後経過は良好で、肺高血圧や肺動脈狭窄はなく経過している。【考察】孤立性一側肺動脈欠損症に対する治療として、主肺動脈と患側肺動脈を直接または人工物や自己組織を介して吻合する一期的な外科治療と、Blalock-Taussigシャントや動脈管ステント留置により患側肺動脈の血流を維持した後に外科的修復術を行う段階的治療とがある。本症例は、出生時体重が大きいこと、PG投与により動脈管を開存させ、患側肺動脈の血流を維持できたことから、一期的外科治療を行うことができた。【結語】心エコーでの肺動脈描出不良から孤立性一側肺動脈欠損症と診断、PG製剤投与により患側肺血流を維持し、一期的に肺動脈再建術を施行した症例を経験した。