[I-P03-2-10] Two cases of Fontan candidate due to multiple muscular VSD with different clinical course
Keywords:multiple muscular VSD, D.K.S手術, Fontan手術
【背景】筋性部の多孔性心室中隔欠損は、閉鎖術が不可能と判断されFontan candidateとなる症例もある。その際の問題点の一つが、DKS吻合を置くかどうかである。今回我々は、異なる経過を辿ったmultiple muscular VSDの2例を経験したので報告する。【症例1】胎児期より三尖弁逆流を指摘されており、前医にて40週3日、2879gで出生した。呼吸状態が悪くNICUに入院となり、心雑音からmultiple muscular VSD , ASD , PHと診断され当院へ紹介となった。カテーテル検査でQp/Qs:3.44、Pp/Ps:0.92、Rp:5.32であったが、VSD閉鎖不可能と判断しPA bandingを施行した。体重増加をはかりVSD閉鎖を目指したが、左室内側乳頭筋近傍にVSDを認めたため閉鎖は困難と判断され8歳でDKS + Glenn手術を施行した。術直後右肺動脈への血流が途絶しており、術後4日目に緊急手術。原因は血腫による圧迫であったが、血腫を除去し同時にEC-TCPC施行した。【症例2】在胎39週0日、2880gで出生。2ヶ月時にRSウイルス感染を契機にVSD(2)8mm、multiple muscular VSDと診断され当院へ紹介となった。PA bandingを行い、体重増加を待つ方針となった。待機中に、心臓外科との協議の上muscular VSDの閉鎖は困難と判断され、7歳でGlenn手術を施行した。この際に、大きなVSD(2)があるためDKSは行わなかった。術後、カテーテル検査でRVp/LVp:1.2と右室圧高く、VSD拡大術をTCPC施行時に行った。【考察】DKS手術は、流出路の懸念が取り除かれる反面、遠隔期のARが問題になることもある。可能であればDKS吻合なしにFontanを成立させたいと考えるが、症例2のように術後から右室圧の上昇を認めてしまうリスクもある。どのような症例でDKSを回避できるのか、あるいはDKSは回避できないのか検討していく必要がある。