[I-P03-3-03] 小児のprimary hyperadrenergic typeの体位性頻脈症候群の臨床像
キーワード:体位性頻脈症候群, hyperadrenergic, ノルアドレナリン
【背景】体位性頻脈症候群(POTS)の病態については、(1)血液量不足、(2)下肢等の血管収縮の不良、(3)一次性の交感神経活性の過剰な亢進(primary hyperadrenergic type, PHA)が主に提唱されている(複数の病態が混在する症例も多い)。病態に合わせて治療法は選択・調整されるべきであり、病態の把握は臨床上重要である。【目的】小児のPHA POTSについては報告が少ないため、今回、その臨床像を他群と比較しつつ検討した。【方法】2021年11月~2023年10月において、当科を初回受診し、ヘッドアップティルト検査を施行した11歳~15歳の他疾患のない症例のうちで、POTSの診断基準を満たした症例のdataを解析した。PHA POTS群は座位時血漿ノルアドレナリン(PNA)値が高値の症例とした。二次性にPNA値が上昇する症例を除外するため、血液量不足が疑われる症例については非薬物療法がある程度行われた後にPNA値を調べ、その値が低下しているならばPHA群には含めずに二次性hyperadrenergic(SHA)群とした。残りの症例はNHA群とした。【結果】POTS症例は84例(PHA群24例、SHA群21例、NHA群39例)で、男児39例・女児35例であった。PHA群ではPNA値(中央値449pg/ml, IQR 397-531)、ティルト時心拍数(122bpm, 114-139)、臥位時・ティルト時収縮期血圧等が他2群よりも有意に高値であった。症状スコア、血漿レニン活性値、血漿アルドステロン値等では有意差はなかった。全例に非薬物療法を行った。イバブラジンまたはビソプロロールの処方はPHA群17例、SHA群13例、NHA群13例に行った。治療開始後、心拍数・血圧、症状スコアや登校状況は全群で有意に改善していた。【結論】PHA群は独特の臨床像を持つが治療への反応は良好であった。