[I-P03-3-04] 24時間心拍変動解析による体位性頻脈症候群児の自律神経機能発生機序の解明
キーワード:心拍変動解析, 体位性頻脈症候群, 自律神経機能
【背景】近年日本人小児の100人に7人が、起立性調節障害の体位性頻脈症候群(postural tachycardia syndrome: POTS)の傾向を示すが、発生機序は未だ不明である。加速容量(AC)及び減速容量(DC)は、それぞれ主に交感神経及び副交感神経刺激に対する反応調節能を独立して評価できる方法として近年開発された。心疾患のない症例では交感神経の持続的刺激によりACが上昇する。【目的】POTS児の自律神経機能の発生機序を、AC及びDCを用いて解明すること。【方法】対象は、桜こどもクリニック本八幡を受診し新起立試験でPOTSと診断された児と、順天堂大学小児科で計測された健常児(健常群)。測定機器はホルター心電計を用いた。連続24時間の心電計データを起床時間を基準に、起床前8時間から起床後16時間まで4時間毎に計算した。交感神経と副交感神経のバランスの指標となる周波数解析のLF/HF、副交感神経活性の指標である時間領域解析のRMSSD(連続するRR間隔の差の二乗平均平方根)、そしてAC及びDCをMATLAB上の独自のプログラムで解析した。【結果】概日リズムが大きくずれていた2名は対象から除外した。 POTS群は13例(内女児11例、平均年齢 13.8±2.4歳)、健常児群は11例(内女児2例、平均年齢13.0±2.3歳)。RMSSDは起床時から起床後8時間まで、POTS群が健常群と比較し低値であった。ACは起床時以後の全時間帯、DCは起床時から起床後8時間までPOTS群が健常群より優位に高値であった。【結論】POTS群は起床後持続的な交感神経刺激の状態にある。一方で、副交感神経刺激への心臓の反応は保たれているものの副交感神経活性が低下していたため、副交感刺激が充分に出されていない可能性が考えられた。