[I-P03-4-07] HARMONYによる経カテーテル肺動脈弁留置術(Harmony TPVI)の初期導入1年の治療成績
キーワード:経カテーテル肺動脈弁留置術, Harmony, 予後
【緒言】経カテーテル肺動脈弁留置術専用のデバイス(Harmony TPVI)が、2021年8月に米国に続いて日本で初めて薬事承認され、2023年3月に国内での導入が開始された。愛媛大学は、国内13施設の初期導入施設として同3月から治療を開始した。臨床経過などについて報告する。【対象と方法】対象は、PRを伴うTOF術後で、適正使用指針を満たした8症例。Fit analysisおよび第三者スクリーニング委員会で適格と判定され、初期3症例と追加の3症例は米国のプロクターのもと、全ての症例にTPV25を留置した。年齢は25歳から58歳、男性6例、女性2例。NYHAは2から3度で、2例に心不全による入院歴あり。合併心奇形は、Ebstein病1例、残存ASDによる右左短絡1例、また1例は挙児希望であった。経過観察期間は、2023年3月以降、2日~10か月である。【結果および考察】PRは劇的に消失し、経過観察期間において、良好な肺動脈弁機能が維持されていた。臨床症状の改善が得られ、残存ASDの症例では、右左短絡は消失した。CTRは縮小し、RVEDVは、術後1週間で2例をのぞいて縮小、術後6か月では全例で縮小した。RVEFは、術後1週間では全ての症例で低下した。術後1か月には改善傾向を示すが、術後6か月では改善の程度は症例により異なり、術前の状態や心機能によって異なる可能性があり、本治療の至適時期を検討するなどにおいて、今後の詳細な経過観察が重要であると思われた。LVEDVIは、術後1週間で、全ての症例で拡大が得られているが、その後の経過は症例によって異なっていた。有害事象は認めていない。【結語】初期導入8症例の経過は良好である。Harmony弁の機能、右心機能の改善、左心機能への影響、術後の課題など、今後、より多くの症例の蓄積により、本治療法の特性を明らにしていくことが重要である。