第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

カテーテル治療

ポスター発表(I-P03-4)
カテーテル治療3

2024年7月11日(木) 15:30 〜 16:20 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:栄徳 隆裕(川崎医科大学 小児科学)

[I-P03-4-07] HARMONYによる経カテーテル肺動脈弁留置術(Harmony TPVI)の初期導入1年の治療成績

檜垣 高史1,2,5, 赤澤 祐介3,5, 高田 秀実3,5, 山名 里沙1,2, 柏木 孝介2, 宮田 豊寿1,2, 前澤 身江子2, 千阪 俊行2, 太田 雅明2,5, 打田 俊司4,5, 山本 英一6 (1.愛媛大学大学院医学系研究科 地域小児・周産期学講座, 2.愛媛大学大学院医学系研究科 小児科学講座, 3.愛媛大学大学院医学系研究科 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学, 4.愛媛大学大学院医学系研究科 心臓血管・呼吸器外科学講座, 5.愛媛大学医学部附属病院 移行期・成人先天性心疾患センター, 6.愛媛県立中央病院 小児科)

キーワード:経カテーテル肺動脈弁留置術, Harmony, 予後

【緒言】経カテーテル肺動脈弁留置術専用のデバイス(Harmony TPVI)が、2021年8月に米国に続いて日本で初めて薬事承認され、2023年3月に国内での導入が開始された。愛媛大学は、国内13施設の初期導入施設として同3月から治療を開始した。臨床経過などについて報告する。【対象と方法】対象は、PRを伴うTOF術後で、適正使用指針を満たした8症例。Fit analysisおよび第三者スクリーニング委員会で適格と判定され、初期3症例と追加の3症例は米国のプロクターのもと、全ての症例にTPV25を留置した。年齢は25歳から58歳、男性6例、女性2例。NYHAは2から3度で、2例に心不全による入院歴あり。合併心奇形は、Ebstein病1例、残存ASDによる右左短絡1例、また1例は挙児希望であった。経過観察期間は、2023年3月以降、2日~10か月である。【結果および考察】PRは劇的に消失し、経過観察期間において、良好な肺動脈弁機能が維持されていた。臨床症状の改善が得られ、残存ASDの症例では、右左短絡は消失した。CTRは縮小し、RVEDVは、術後1週間で2例をのぞいて縮小、術後6か月では全例で縮小した。RVEFは、術後1週間では全ての症例で低下した。術後1か月には改善傾向を示すが、術後6か月では改善の程度は症例により異なり、術前の状態や心機能によって異なる可能性があり、本治療の至適時期を検討するなどにおいて、今後の詳細な経過観察が重要であると思われた。LVEDVIは、術後1週間で、全ての症例で拡大が得られているが、その後の経過は症例によって異なっていた。有害事象は認めていない。【結語】初期導入8症例の経過は良好である。Harmony弁の機能、右心機能の改善、左心機能への影響、術後の課題など、今後、より多くの症例の蓄積により、本治療法の特性を明らにしていくことが重要である。