[I-P03-4-08] 経皮的バルーン大動脈弁形成術(PTAV)後遠隔期の弁形態
キーワード:balloon aortic valvuroplasty, congenital aortic stenosis, aortic valve regurgitation
【背景】新生児・乳児のASに対するPTAVは安全かつ効果的な治療方法ではあるが,遠隔期のAR増悪が最も大きな課題となる.ARが増悪した大動脈弁の形態について検討した報告はほとんどない.【目的】PTAV後にARが増悪した症例の弁形態を調べ,その特徴を明らかにすること【方法】2008年1月から2023年12月の間にPTAVを施行した17症例のうち,PTAV後に経食道エコー(TEE)もしくは手術で大動脈弁の形態を評価できた10例を対象とし,PTAV前のエコー所見,PTAV後の逆流部位,裂開部位などについてエコー記録や手術記録を調査し,それぞれの転帰についても調べた.また,TEEと手術の両方を施行している症例については所見の相違についても検討した.【結果】大動脈弁形態は3尖が2例,2尖が2例,1尖が6例であった.逆流発生部位が確認できた9例のうち8例で中央部からの逆流を認め,そのうち5例でRCC-NCC間からの逆流も伴っていた.中央部以外からの逆流を認めた5例は1例を除いてすべてでAR増悪による外科的再介入が必要となっていた.特にPTAV前にrapheがはっきりせず,それぞれ2尖と1尖と評価していた2症例については,PTAV後早期よりARが増悪し、それぞれPTAVから1年後と2年後に外科的再介入が必要となった.中央部以外からの逆流を認めた2尖弁の1例では前後の交連からの逆流を認めていた.形態評価においてPTAV前との相違は50%であった.【考察】PTAV前に経胸壁エコーで明らかなrapheを認なかった2例については,早期にARが目立つようになりPTAV後1-2年での再介入が必要となった.PTAV前のエコー評価でrapheが明瞭でない症例については,ある程度のASを許容して小さめのバルーンを選択し,ARの増悪により注意してフォローする必要があるかもしれない.