[I-P03-5-07] 成人エブスタイン病の至適手術時期の検討
キーワード:成人, エブスタイン病, 手術
【はじめに】エブスタイン病は三尖弁逆流を特徴とする疾患であるが、臨床症状は多様であり成人期の手術介入の至適時期に苦慮することが少なくない。
【目的】成人エブスタイン病の手術症例を振り返り至適介入時期を検討する。
【方法】エブスタイン病と診断され、心房中隔欠損症(ASD)や卵円開存症(PFO)以外の心合併奇形のない症例のうち、当院小児科管理で2014年1月から2023年12月に三尖弁に対し初回の手術介入を行った手術時16歳以上の症例について電子カルテを用いて後方視的に調査した。
【結果】対象は10例で手術時年齢は16-72(41、中央値、以下同様) 歳だった。診断時年齢は0-70(4) 歳(小児期が6例、成人が4例)で診断から手術までは0-31(16) 年だった。NYHA分類は1度3例、2度3例、3度4例で、低酸素血症を3例、不整脈既往を6例で認めた。6例で三尖弁形成術、4例で三尖弁置換術を行った。手術前の胸部単純写真での心胸郭比は52-79(59) %、心臓超音波検査での三尖弁逆流は高度が7例、全例で中等度以上だった。心臓MRI検査は8例で施行され、機能的右室の拡張末期容量係数は83-205 (120) ml/m2, 駆出率は37-63(49) %だった。手術の適応はそれぞれの主治医の判断であったが、自覚症状7例、チアノーゼ2例、心機能や運動耐容能の低下4例だった。周術期死亡はなく、再手術は2例(グレン手術1例、ペースメーカ植え込み1例)だった。術後の超音波検査で三尖弁逆流は全例で中等量未満へと改善していたが、術後も当院に通院している6例のうち3例では自覚症状改善を認めなかった。
【結論】成人期のエブスタイン病の手術介入時期は一定の見解がないが、今回の検討では弁逆流の制御は良好であったが術後の自覚症状や運動機能の改善に乏しかった。以上を踏まえると現状よりも早期に手術介入する必要性が考えられた。
【目的】成人エブスタイン病の手術症例を振り返り至適介入時期を検討する。
【方法】エブスタイン病と診断され、心房中隔欠損症(ASD)や卵円開存症(PFO)以外の心合併奇形のない症例のうち、当院小児科管理で2014年1月から2023年12月に三尖弁に対し初回の手術介入を行った手術時16歳以上の症例について電子カルテを用いて後方視的に調査した。
【結果】対象は10例で手術時年齢は16-72(41、中央値、以下同様) 歳だった。診断時年齢は0-70(4) 歳(小児期が6例、成人が4例)で診断から手術までは0-31(16) 年だった。NYHA分類は1度3例、2度3例、3度4例で、低酸素血症を3例、不整脈既往を6例で認めた。6例で三尖弁形成術、4例で三尖弁置換術を行った。手術前の胸部単純写真での心胸郭比は52-79(59) %、心臓超音波検査での三尖弁逆流は高度が7例、全例で中等度以上だった。心臓MRI検査は8例で施行され、機能的右室の拡張末期容量係数は83-205 (120) ml/m2, 駆出率は37-63(49) %だった。手術の適応はそれぞれの主治医の判断であったが、自覚症状7例、チアノーゼ2例、心機能や運動耐容能の低下4例だった。周術期死亡はなく、再手術は2例(グレン手術1例、ペースメーカ植え込み1例)だった。術後の超音波検査で三尖弁逆流は全例で中等量未満へと改善していたが、術後も当院に通院している6例のうち3例では自覚症状改善を認めなかった。
【結論】成人期のエブスタイン病の手術介入時期は一定の見解がないが、今回の検討では弁逆流の制御は良好であったが術後の自覚症状や運動機能の改善に乏しかった。以上を踏まえると現状よりも早期に手術介入する必要性が考えられた。