[I-P03-6-02] Intra-atrial flow diversion using a pedicled atrial flap for anomalous pulmonary veins draining into the right atrium ~ Pros and Cons
Keywords:有茎心房フラップ(PAF), 総肺静脈還流異常(TAPVD), 部分肺静脈還流異常(PAPVD)
【背景、目的】右心房内異常還流肺静脈PVの血流転換術式において、作成血流路狭窄の回避のためbaffleに代わり有茎心房フラップ(pedicled atrial flap: PAF)を用い場合に、術後の洞結節機能不全SSSや上室性不整脈の発生が指摘されている。当施設実施のPAF変法の後方視的に調査し妥当性と問題点を検討。【方法】術式:右側房室間溝に平行の右心房を切開。切開後縁から分界稜線数mmまで2つの垂直切開を加えてコの字状PAFを作成し、PV開口と中隔欠損孔を覆うように6-0 PDS糸で縫着。右心房切開前縁をPAF心外膜と残る切開後縁に直接閉鎖。【対象】2008年9月~2024年1月に同術式実施の9例、総肺静脈還流異常4 (IIa: 1、IIb: 3、うち多脾症1)、部分肺静脈還流異常(PAPVD) 5。手術時年齢:6日~5歳(中央値11ヶ月、男児5例)。うち上大静脈還流型PAPVD 4例でWilliams変法を併施。術後心臓超音波検査UCGと心電図検査ECG、投薬状況等を調査した。【結果】全例外来通院中で術後観察期間1ヶ月~15年2ヶ月(中央値2年4ヶ月)。手術死亡、再手術、および日常生活制限なし。術後UCG:全例で血流転換路、上下大静脈還流路、およびPVに狭窄なし。血栓形成なし、残存肺高血圧なし。ECG:術前全例洞調律SR。術後急性期に心房頻拍1(短期間のβ遮断薬で以後SR)、退院時SR 6、SSS 1、接合部調律JR 2(退院時cilostazol 3)。最終診察時までに1例JR のSR化に伴いcilostazol終了、年齢不相応の徐脈3(SSS 2、JR 1)に認めたが、永久ペースメーカーの適応はなし。頻拍発作なし。【結語】PAFによる異常還流肺静脈の血流転換は、狭窄防止の手技として有効な選択肢である一方、徐脈性不整脈発生の低減に向けた更なる術式改良が必要である。