第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

その他の非チアノーゼ性心疾患

ポスター発表(I-P03-6)
その他の非チアノーゼ性心疾患

2024年7月11日(木) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:太田 教隆(愛媛大学大学院医学系研究科 心臓血管呼吸器外科)

[I-P03-6-02] 有茎心房フラップを用いた異常還流肺静脈の右心房内血流転換の妥当性と問題点

鈴木 昌代1, 小西 隼人1, 勝間田 敬弘2, 蘆田 温子3, 小田中 豊3, 尾崎 智康3, 岸 勘太3, 内山 敬達4, 永尾 宏之5, 峰 研治6, 根本 慎太郎1 (1.大阪医科薬科大学病院 小児心臓血管外科, 2.大阪医科薬科大学病院 心臓血管外科, 3.大阪医科薬科大学病院 小児科, 4.うちやま小児科こどもクリニック, 5.高槻病院 小児科, 6.関西医科大学病院 小児科)

キーワード:有茎心房フラップ(PAF), 総肺静脈還流異常(TAPVD), 部分肺静脈還流異常(PAPVD)

【背景、目的】右心房内異常還流肺静脈PVの血流転換術式において、作成血流路狭窄の回避のためbaffleに代わり有茎心房フラップ(pedicled atrial flap: PAF)を用い場合に、術後の洞結節機能不全SSSや上室性不整脈の発生が指摘されている。当施設実施のPAF変法の後方視的に調査し妥当性と問題点を検討。【方法】術式:右側房室間溝に平行の右心房を切開。切開後縁から分界稜線数mmまで2つの垂直切開を加えてコの字状PAFを作成し、PV開口と中隔欠損孔を覆うように6-0 PDS糸で縫着。右心房切開前縁をPAF心外膜と残る切開後縁に直接閉鎖。【対象】2008年9月~2024年1月に同術式実施の9例、総肺静脈還流異常4 (IIa: 1、IIb: 3、うち多脾症1)、部分肺静脈還流異常(PAPVD) 5。手術時年齢:6日~5歳(中央値11ヶ月、男児5例)。うち上大静脈還流型PAPVD 4例でWilliams変法を併施。術後心臓超音波検査UCGと心電図検査ECG、投薬状況等を調査した。【結果】全例外来通院中で術後観察期間1ヶ月~15年2ヶ月(中央値2年4ヶ月)。手術死亡、再手術、および日常生活制限なし。術後UCG:全例で血流転換路、上下大静脈還流路、およびPVに狭窄なし。血栓形成なし、残存肺高血圧なし。ECG:術前全例洞調律SR。術後急性期に心房頻拍1(短期間のβ遮断薬で以後SR)、退院時SR 6、SSS 1、接合部調律JR 2(退院時cilostazol 3)。最終診察時までに1例JR のSR化に伴いcilostazol終了、年齢不相応の徐脈3(SSS 2、JR 1)に認めたが、永久ペースメーカーの適応はなし。頻拍発作なし。【結語】PAFによる異常還流肺静脈の血流転換は、狭窄防止の手技として有効な選択肢である一方、徐脈性不整脈発生の低減に向けた更なる術式改良が必要である。