[I-P03-6-05] 心房中隔欠損のカテーテル治療全盛時代における外科的閉鎖術の意義
キーワード:心房中隔欠損症, 外科的閉鎖術, カテーテル治療
【背景と目的】近年カテーテル技術やデバイスの進化により,カテーテル的ASD閉鎖術の解剖学的制約は少なくなっている. 当院においてもカテーテル閉鎖術を第一選択としているが, 外科的閉鎖術が必要な症例は一定数存在する. 今回当院におけるASD治療の術式選択とその結果について検討し, 外科的閉鎖術の意義について考察する.【対象と方法】当院で経カテーテル的ASD閉鎖術を導入した2009年8月以降に外科的閉鎖術を行った症例102例をS群, カテーテルによる閉鎖術を行った症例201例をC群として,術式選択理由,手術成績,術後合併症等について比較検討を行った.外科的閉鎖のアプローチは可能な限りに小切開(MICS)で行った. MICSは正中の場合は胸骨部分切開, 側開胸の場合は内視鏡補助下に行った. 心房細動合併例にはメイズ手術を積極的に行った.【結果】外科的閉鎖選択の理由は, 患者希望25, リム不足23, afや弁逆流合併20, PS合併8, PH合併5, 静脈洞欠損4, ASO留置Failure4, Erosionによる緊急手術2, その他11であった. 外科的閉鎖術のうち62例(60.8%) はMICSで行った. 特に女性62例中50例(80.6%)がMICSであった. メイズ手術あるいはPVIを14例に併施し, 全例洞調律を維持していた. 両群において手術死亡なし, 遠隔死亡なし. S群の1例で術後急性期に脳梗塞を発症した. C群の2例で入院中に緊急ICR(Erosion1, 心内異物1)を行った. ASD症例に占めるカテーテル治療の割合は, デバイスがASOのみであった2015年までは54.6%であったが, 2016年以降は71.7%と増加し, 最近の2年間では75.9%にまで増加した. 【考察】カテーテルの技術やデバイスの進化により, カテーテル閉鎖術が主流となっている現在において, 外科的閉鎖術の割合は減少傾向にあった. 外科的閉鎖術を行う場合においても, MICSのアプローチを積極的に行うことで, 少しでも低侵襲で手術を行うことは妥当であると考えられた. メイズ手術併施は洞調律維持に有効であった.