[I-P03-6-06] 非定型三心房心Lucas-Schmidt III型に対し有茎隔壁フラップを用いて心内修復を行った1例
キーワード:非定型三心房心, 隔壁フラップ, 有茎フラップ
症例は5歳女児。術前診断は、全右側肺静脈右房還流を伴う部分肺静脈還流異常及び小さな高位静脈洞型ASD の診断あった。Qp/Qs=3.6、肺高血圧は認めず、心内修復術の方針となった。術中所見では、大きな下位静脈洞型ASD を認めた。また、ASD頭側に2次心房中隔縁を認めた。右中下肺静脈は容易に視認できるが背側から還流、右上肺静脈は2次心房中隔の背側に認めた。下位静脈洞型ASD 越しに僧帽弁は視認できなかった。頭側の2次中隔前縁の背側に、径5mm の交通孔を認めた。卵円窩は前後幅が狭く閉鎖。心内修復はまず、2次中隔前縁の背側の左側心房に交通する小孔から尾側に向かって隔壁を切開。右肺静脈のある腔との間に大きな交通を作成した。作成した交通を介して僧帽弁を確認後、切開の向きを三尖弁方向に変え、卵円窩下縁に沿って切開し、卵円窩含む有茎隔壁フラップを作成した。ASD 下縁を縫合形成した後、フラップにて左右心房間の分割と、僧帽弁へ向かう右肺静脈還流路の作成を行った。術後診断は、本疾患の隔壁が心房中隔でないとの立場に立ち、静脈洞型ASD を伴う三心房心(Lucas-Schmidt III-A-1) とした。術後4年経過時点で、体静脈、肺静脈とも加速血流は認めず経過良好。