[I-PAL-4] 先天性単心室型心疾患における肺血管容積の研究~J-SPECH多施設共同研究第一報~
キーワード:肺血管キャパシタンス, 肺血管容積指数, PA index
【目的】右心バイパス術前に、術後血行動態を予測できるかどうかを明らかにするために、右心バイパス術前造影CTにより肺血管容積を計測し血行動態指標との関連性を検討した。【方法】Glenn術前に造影CTおよび心臓カテーテル検査実施例を対象とし、JSPECH所属6施設よりデータ提出があった。CT画像から画像解析ソフトVirtual Place RaijinTM(AZE社)を用いて肺血管容積指数(PAVI)を測定し、更に肺血管キャパシタンス(Cp)を算出した。それらとGlenn術前後の平均肺動脈圧(PAP)、肺血流量(Qp)、肺血管抵抗係数(Rp)、PA indexとの関連を検討した。【結果】対象は70例(男34例)。Glenn術前[月齢9(0-45)]においてPAP 12(6-24)mmHg、Qp 3.9(1.2-13.1)L/min/m2、Rp 1.6(0.5-4.1)WU・m2、PA index 228(70-561)mm2/m2であった。造影CTより算出したPAVI 38.1(11.1-71.2)ml/m2、Cp 4.8 (1.0-25.5)mL/mmHg/m2であり、Glenn術前の左右肺動脈第一分枝前の中央の肺動脈のPAVIは、術前PA indexと相関していた(R=0.49)。Cpは術前血行動態指標と関連はなかった。Glenn術後(N=53)においてPAP 9(4-23)mmHg、Qp 2.6(1.8-4.3)l/min/m2、Rp 1.8(0.6-3.6)WU・m2、PA index 189.8(72.0-441.0)mm2/m2であった。Glenn術前PAVIはGlenn術後の各血行動態指標と関連がみられなかったが、Glenn術前Cpは術後PAP(r=-0.50)と有意な相関がみられた。Glenn術前PA indexは術後PA index(r=0.64)と有意な相関を認めたが、その他の血行動態指標との関連は認めなかった。【結論】Glenn術前の肺血管容積より算出したCpは、Glenn術後の血行動態を予測し得る指標と考えた。右心バイパス術前PAVIやCpがFontan到達後の血行動態を反映しうるかどうか更なる検討が必要である。