[I-PD1-3] アブレーションを見据えた心臓血管外科手術
Keywords:アブレーション, 不整脈, 心臓手術
先天性心疾患に合併する不整脈のアブレーション治療においては、Fontan手術など術後に心内へのカテーテルアプローチが困難となる形態もあり、手術に際してはアブレーションを見据えた治療計画が必要となる。当院では、不整脈の既往や素因のある疾患、機能的単心室を対象にEPSを施行し、適応があればアブレーション治療を行っている。その治療方法および成績を報告する。対象は、当院で心臓手術前後もしくは術中にアブレーションを行った28例。疾患の内訳は単心室5、ファロー四徴 5、両大血管右室起始 4、Ebstein奇形 4、総肺静脈還流異常 3、完全大血管転位 3、修正大血管転位 2、その他2例で、うち10例が機能的単心室と判断された。不整脈は上室性頻拍 23、心室性頻拍 5例で、治療方法はカテーテルアブレーション(RFCA)のみが19、術中アブレーションのみが6、併用が3例、年齢は中央値8歳(1ヶ月-39歳)であった。二心室の18例中11例は、修復術後RFCAのみで治療し得た。Ebstein奇形1例と修正大血管転位1例は術前にRFCAを行ったが焼灼不十分で、それぞれ三尖弁形成術とhemi-Mustard手術時に追加焼灼を行った。三尖弁置換術の1例は術中にPV isolationを行い、術後RFCAを追加した。肺動脈弁置換2例、三尖弁形成1例、Senning手術1例は術中アブレーションのみを行った。機能的単心室10例では、Fontan前治療を基本としているが、Fontan術後遠隔期に不整脈を発症した5例では、開窓Fontan 1例を除く4例でBrockenbrough法によるアプローチでRFCAを行った。また、Starnes術後の2例はRFCA困難が予想され、Fontan手術時に術中アブレーションを行った。アブレーション後、無脾症候群の単心室1例で再発を認めたが、他は再発なく経過している。先天性心疾患では、術式によってはカテーテルでのアプローチやアブレーションが困難となる症例が存在するため、アブレーションの時期や方法を綿密に計画することが重要である。