[I-PD1-4] TPVI症例の心室性不整脈に対する術前アブレーション
Keywords:TPVI, 心室性不整脈, アブレーション
先天性心疾患術後症例において遠隔期合併症の心室性不整脈は、突然死の主な原因の一つとされる。ファロー四徴症(TOF)の術後では、術式に関連した瘢痕やパッチ周囲のマクロリエントリーによるVTが起こることが報告されているが、アブレーションによる高い治療効果が期待できる。当院では2023年より、TOFなど右室流出路再建術後の肺動脈弁逆流に対する再介入方法として、経皮的肺動脈弁置換術(TPVI)が導入された。TPVIでは、マクロリエントリー回路の一部がデバイスに覆われることになり、TPVI後のアブレーションは困難となる。TOF術後の心室性不整脈は40代以降に増加するとされるが、初回TPVIは20-30代に施行される場合が多く、術後に心室性不整脈が発生する可能性はある。そこで当院では、米国の多施設研究デザインを参考に、TPVI前のホルター心電図などでnon-sustained VT(NSVT)以上を認めた症例に対し、術前に電気生理学検査(EPS)・アブレーションを行う方針とした。2023年3月~2024年3月までに当院で施行したTPVI症例13例のうち、3例に術前アブレーションを行った。3症例の原疾患はTOF2例、DORV1例。術前検査で5~10連のNSVTを認めた。いずれの症例も、全身麻酔下にEPSを行い、不整脈の誘発を試みるもPVC/VTは出現しなかった。ペースマップで一致率が高い位置を探索し焼灼した。切開線やパッチ周囲と思われる部位に破砕電位を認めた場合は、追加焼灼も行った。アブレーション後別セッションにてTPVIを行い、現時点ではNSVTの再燃はなく経過している(観察期間1~7か月)。TPVI導入直後であり、現時点では遠隔期成績・合併症については不明点が多い。TPVI前の心室性不整脈に対するアブレーション適応を見出すためには、今後多施設共同での症例の蓄積が望まれる。