第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション2(I-PD2)
Child Death Review:死因究明から予防へ

2024年7月11日(木) 14:40 〜 16:20 第2会場 (5F 501)

座長:太田 邦雄(金沢大学 医学教育学)
座長:沼口 敦(名古屋大学医学部附属病院 救急・内科系集中治療部)

[I-PD2-1] わが国で探索されるChild Death Reviewの全体像

沼口 敦 (名古屋大学医学部附属病院 救急・内科系集中治療部)

キーワード:Child Death Review, 予防のための子どもの死亡検証, 小児循環器医

わが国では現在,成育基本法,死因究明等推進基本法などを根拠として,CDR(チャイルド・デス・レビュー,予防のための子どもの死亡検証)の社会実装が模索されている。 2000年代になって,日本小児科学会によるパイロット研究,厚生労働科研(小林班,溝口班,沼口班)等の学術的な探索が行われた。これらにより,わが国では医療情報を基盤としたCDRを探究する方向性が定まった。これを基盤として,現在は都道府県CDR体制整備モデル事業(R2~),予防のためのこどもの死亡検証体制整備事業(R3~),予防のためのこどもの死亡検証に関する広報啓発事業(R4~),こども家庭科学研究補助金事業(R4~)が実施されている。 現在探索されているわが国のCDRは,都道府県を実施主体として,(1)医療情報を中心として死亡事象にまつわる各種情報を収集(共有)し,(2)その情報を基に多機関で検証を行い,(3)検証結果から具体的な社会への提言を導き出す,という3段階からなる仕組みを想定している。個々の事例を対象に潜在する周辺事象等の詳細な検討を行う,複数の類似事例等を対象に地域全体の検討を行うなど,地域やタイミングによって重点項目に多少の差異はあるが,CDR体制整備モデル事業は行政事業としてこのCDRの仕組みの実現を試み課題を探索している。令和5年度には10自治体が参加し,令和6年度にも引き続き継続している。 本講では,わが国で現在探索されているCDRについて概観した上で,小児循環器医がこれにいかに携わるか,またその意義について考察する。いまだ制度構築の途上にある事業であり,今後も関係諸氏の意見を伺いたい。