第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション2(I-PD2)
Child Death Review:死因究明から予防へ

2024年7月11日(木) 14:40 〜 16:20 第2会場 (5F 501)

座長:太田 邦雄(金沢大学 医学教育学)
座長:沼口 敦(名古屋大学医学部附属病院 救急・内科系集中治療部)

[I-PD2-3] 小児循環器疾患のCDR個別検証の実際

佐々木 理 (天使病院 こどもメディカルセンター 小児科)

キーワード:CDR, 個別検証, 死亡

CDRの個別検証では、対象事例の情報とその解釈を参加者間で共有し、死亡に至った原因や経過、影響を及ぼした事項などを考察する。そして共通認識をもとに何を学んだかを明らかにし、予防策の素案を可及的に列挙することが、個別検証の目的である。既存事業による検証のように原因究明や責任追及を主目的にはしない。
個別検証は医学的、心理的、社会的な観点で検証する。小児循環器疾患関連の子どもの死亡を扱う場面は、1)先天性心疾患や心筋症の患児が生後あるいは治療の経過中に死亡する、2)生来健康な児が致死性不整脈、急性心筋炎などを発症して突然死(乳幼児突然死症候群も含まれる)する、などが想定される。その中には、染色体異常を含む先天異常症候群の合併や、胃瘻や人工呼吸器を装着している医療的ケア児である症例も含まれ、死因となった小児循環器疾患のみならず、子どもを取り巻く環境についても検証を行う必要がある。そのため、小児循環器疾患の死因検証はすでに終わっている必要があり、院内デスカンファレンスや臨床病理検討会の後に個別検証が開催されることが望ましい。また、特定の地域で小児循環器疾患の死亡例が続いた場合は、専門家検証を開いてその地域の小児循環器疾患患者の患者搬送、出生前診断等を含めた診療体制について検討することもある。
これまでに当モデル地域で個別検証が行われた小児循環器疾患患者の疾患は急性心筋炎、拡張型心筋症、両大血管右室起始、肺高血圧等で、夜間休日等の救急診療における早期発見、出生前診断の普及、家族のグリーフケア等が意見として出た。個々の個別検証の様子や得られた予防策などを提示し、小児循環器医としての関わり方を考えたい。