[I-PD2-4] 児童生徒の心原性院外心停止の疫学像と防止策
キーワード:心臓性突然死, AED, 医療DX
児童生徒の心原性院外心停止の病因も含めた疫学像の解明は、現在のスポーツ振興センターの集計、消防庁のウツタイン登録解析、学会レベルの実態調査、CDRなどと整ってきているが、課題も多い。最近、2023年の改正次世代医療基盤法により、大規模レセプトデータに加えて死亡票の収集も取り上げられており、今後の進展が期待される。本演題では、ウツタイン登録研究の最近のデータ解析結果と学会の実態調査の再解析結果を紹介し、今後の児童生徒の心原性院外心停止の病因解明と予防について述べたい。ウツタイン研究:対象は、全国の救急車受診の院外心停止例のうち、2005-15年発生の7-35歳、心原性、目撃者あり、公的場所、日中(6:00-17:59)の1,646例を検討。小・中高校生・大学年齢・23-35歳の4群で検討。23-35歳に比べて、暦年に関わらず小・中高生の群は、compression only CPR (cCPR)が少なく、bystander CPR, bystander AED、社会復帰率が有意に高かった。ロジステイック解析では、女性、初期心室細動、cCPR、bystander AED、救急隊到着時間、暦年が社会復帰に独立して関係した。小児期における蘇生環境の有効性が示された。学会の二次調査の再解析:対象は、学会の全国調査で収集した小中学生の心原性院外心停止58例(2005-09)。非経過観察学校発症例(16例)の94%は運動関連で、冠動脈起始異常31%、iVF19%、CPVT13%、LQT13%、HCM13%、その他心疾患6%、原因不明6%であった。冠動脈起始異常(心電図で抽出難)/HCM(心電図で抽出可)比は、2.5であり、国際的なメタ解析(2022)の0.69より高値であり、日本の検診の有用性が示唆された。現在の病因究明体制の課題について、医療DXの動向に応じた学会の対応が重要である。