[I-PD3-2] 先天性心疾患における壊死性腸炎
Keywords:壊死性腸炎, 先天性心疾患, 新生児
壊死性腸炎(NEC)は、主に低出生体重児や早産児において、腸管の未成熟のために粘膜バリアが破綻することで生じる重篤な炎症性腸疾患であるが、先天性心疾患(CHD)を合併する場合には成熟児においても起こりうる。CHDに合併したNECは、低心拍出量や拡張期の盗血現象に伴う腸管血流の減少が背景にあると考えられており、発生率は3~5%と報告されているが、死亡率は19~25%と高く、早期に診断・介入することが重要と考えられる。
典型的な症状としては摂食不耐性・腹部膨満・血便があり、単純X線写真や超音波により、腸管拡張像や腸管壁内・門脈内のガスを検出することで診断されるが、より早期に予測するためのツールとして、腸脂肪酸結合蛋白や便中カルプロテクチンなどの潜在的バイオマーカーや近赤外分光法による腹部の組織酸素飽和度測定の有用性が近年議論されている。
治療としては絶食・抗生剤投与に加えて、重症度に応じて腹腔内ドレーン挿入や開腹ドレナージ・腸切除術が適応となり、開腹手術を要する症例は15~38%とされている。また明確なエビデンスはないが、高肺血流・心不全の治療として、鎮静・人工呼吸管理により、酸素需要量の低下、体血管抵抗の低下および肺血管抵抗の上昇をもたらすことで、腸管血流が増加する可能性がある。
さらに発症時期は術前後で約半数ずつと報告されており、予防の観点から経腸栄養が避けられる場合もあるが、長期の絶食は腸管粘膜の萎縮を引き起こすため、むしろ適切なプロトコールに基づいた経腸栄養はNECを増加させず、母乳については予防的に作用する可能性さえ指摘されている。
しかしながら、NECに関する報告は単施設の後方視研究がほとんどで、その病態生理や管理法についてもまだ解明されていないというのが現状である。本講演では、CHD周術期に生じたNECについて、自施設の経験やデータも交えて発表する。
典型的な症状としては摂食不耐性・腹部膨満・血便があり、単純X線写真や超音波により、腸管拡張像や腸管壁内・門脈内のガスを検出することで診断されるが、より早期に予測するためのツールとして、腸脂肪酸結合蛋白や便中カルプロテクチンなどの潜在的バイオマーカーや近赤外分光法による腹部の組織酸素飽和度測定の有用性が近年議論されている。
治療としては絶食・抗生剤投与に加えて、重症度に応じて腹腔内ドレーン挿入や開腹ドレナージ・腸切除術が適応となり、開腹手術を要する症例は15~38%とされている。また明確なエビデンスはないが、高肺血流・心不全の治療として、鎮静・人工呼吸管理により、酸素需要量の低下、体血管抵抗の低下および肺血管抵抗の上昇をもたらすことで、腸管血流が増加する可能性がある。
さらに発症時期は術前後で約半数ずつと報告されており、予防の観点から経腸栄養が避けられる場合もあるが、長期の絶食は腸管粘膜の萎縮を引き起こすため、むしろ適切なプロトコールに基づいた経腸栄養はNECを増加させず、母乳については予防的に作用する可能性さえ指摘されている。
しかしながら、NECに関する報告は単施設の後方視研究がほとんどで、その病態生理や管理法についてもまだ解明されていないというのが現状である。本講演では、CHD周術期に生じたNECについて、自施設の経験やデータも交えて発表する。