[I-PD6-4] 当院における小児期早期の先天性大動脈弁疾患に対する外科的治療介入の成績
Keywords:先天性大動脈弁疾患, 大動脈弁形成術, Ross手術
【目的】先天性大動脈弁疾患に対する治療方針は明確ではなく症例ごとに弁形成術, Ross手術, 弁置換術を選択して施行していると思われる。今回は小児期早期に介入した症例の成績を検討した。【方法】対象は2010年6月から2021年5月の間に当院で手術介入した2歳未満の症例12例で, 単心室症, 総幹動脈症, CoA、IAAの患者は除外した。手術成績, 術後合併症, 再介入などを検討した。【結果】手術施行時の月齢中央値は3.5 (0-12) か月, 体重中央値は5.5 (2.2-7.7) Kgであった。術前5例にバルーン大動脈弁形成術を施行した。術前心エコーのAS流速中央値は3.9 (2.2-5.5, N=11)m/sであった。術式は大動脈弁形成術 (交連切開: 9例、slicing: 4例、弁尖補填: 2例) 11例, 大動脈弁下狭窄合併の1例にRoss-Konno手術を施行した。術後観察期間中央値は42 (2-101) か月であった。術後早期死亡を1例認め, 体重2.2kgのCritical AS患児に対して弁尖のslicing術後, LOSに対してECMOを導入したがPOD22に失った。遠隔死亡を1例認め, borderline LV, MS, EFE合併症例に対して交連切開, slicing術後にRoss-Konno手術, EFE切除術を施行したがPLE, 心不全のため3歳時に失った。遠隔死亡例1例を含めて術後にASが残存し再度の弁形成術が困難と思われた3例に対して , 術後2, 4, 8か月後にRoss-Konno手術を施行した。Ross-Konno手術前のAS流速値はそれぞれ4.1, 3.5, 4.7m/sであった。早期死亡1例と早期フォローオフになった2例を除いた9例の術後心エコーのAS流速中央値は2.7 (1.0-4.0) m/s, ARなしが2例, trivial: 4例, mild: 3例であった。【結語】大動脈弁形成術を施行した症例の半数以上は再介入なく経過していた。Ross及びRoss-Konno手術は弁下狭窄が高度な症例や再弁形成術が困難な狭小大動脈弁輪径症例に対する選択肢の1つであると考えられた。