[I-PD6-5] Ross手術の再考
Keywords:Ross手術, Autograft failure, 冠動脈病変
【背景】成人領域においてRoss手術の有用性が近年盛んに提唱され, 遠隔期Autograft failureへの対応も積極的に行われている. Ross手術の役割がより重要な小児領域にその知見を活かすべく, 当科のRoss手術を再考した.
【方法】2000-2023年の連続症例を対象とし, Full root法でのAutograft移植を全例で行った. Autograft reinforcementとして2014年からAutograft弁輪径が男性で22mm, 女性で20mmあれば3-4mmサイズアップのストレート人工血管に内挿し, 2019年からはそれ未満のAutograftにもcoronary cuff採取後の大動脈壁にてwrappingを行った.
【結果】対象は38例, 手術時年齢中央値は7.4 [range, 0.1-21] 歳, 体重中央値は25 [range, 2.8-62] kgであった. 大動脈弁病変は狭窄が16例, 閉鎖不全が13例, 狭窄兼閉鎖不全が9例で, 冠動脈病変を13例 (high-take-off 6, 冠動脈入口部狭窄/閉塞 5, 右冠動脈左冠動脈洞起始 4, 合併あり) に認めた. 大動脈弁輪径中央値が17mm, 肺動脈弁輪径中央値が18mmであり, 13例にKonno切開を要し, Autograftの人工血管内挿入を4例に, 大動脈壁によるwrappingを3例に行った. 観察期間中央値9.0年で死亡を5例 (早期 3, 遠隔 2, いずれも2008年以前の手術例), 内2例が冠動脈病変に起因し, 10年生存率は86±5.7%であった. 再手術を9例 (肺動脈弁置換 5, 冠動脈形成/バイパス 3, 房室弁形成 2, 大動脈弁置換 1, 合併あり) に認め, 冠動脈再手術例の内2例は冠動脈病変に起因, 大動脈弁置換はAutograft採取時から認めたcusp変形が主因であった. 最終エコー検査にて中等度以上の大動脈弁閉鎖不全または40mm以上のAutograft拡大を5例に認め, 全てreinforcementなしの症例であった.
【考察】小児期にRoss手術適応となる患者の多くに冠動脈病変を合併し, その移植手技には注意を要する. 一方でAutograft reinforcementに関わるAdverse eventは認めず, 今後のAutograft failure低減に寄与するものと期待する.
【方法】2000-2023年の連続症例を対象とし, Full root法でのAutograft移植を全例で行った. Autograft reinforcementとして2014年からAutograft弁輪径が男性で22mm, 女性で20mmあれば3-4mmサイズアップのストレート人工血管に内挿し, 2019年からはそれ未満のAutograftにもcoronary cuff採取後の大動脈壁にてwrappingを行った.
【結果】対象は38例, 手術時年齢中央値は7.4 [range, 0.1-21] 歳, 体重中央値は25 [range, 2.8-62] kgであった. 大動脈弁病変は狭窄が16例, 閉鎖不全が13例, 狭窄兼閉鎖不全が9例で, 冠動脈病変を13例 (high-take-off 6, 冠動脈入口部狭窄/閉塞 5, 右冠動脈左冠動脈洞起始 4, 合併あり) に認めた. 大動脈弁輪径中央値が17mm, 肺動脈弁輪径中央値が18mmであり, 13例にKonno切開を要し, Autograftの人工血管内挿入を4例に, 大動脈壁によるwrappingを3例に行った. 観察期間中央値9.0年で死亡を5例 (早期 3, 遠隔 2, いずれも2008年以前の手術例), 内2例が冠動脈病変に起因し, 10年生存率は86±5.7%であった. 再手術を9例 (肺動脈弁置換 5, 冠動脈形成/バイパス 3, 房室弁形成 2, 大動脈弁置換 1, 合併あり) に認め, 冠動脈再手術例の内2例は冠動脈病変に起因, 大動脈弁置換はAutograft採取時から認めたcusp変形が主因であった. 最終エコー検査にて中等度以上の大動脈弁閉鎖不全または40mm以上のAutograft拡大を5例に認め, 全てreinforcementなしの症例であった.
【考察】小児期にRoss手術適応となる患者の多くに冠動脈病変を合併し, その移植手技には注意を要する. 一方でAutograft reinforcementに関わるAdverse eventは認めず, 今後のAutograft failure低減に寄与するものと期待する.