[I-PD7-4] 二心室型循環を有する成人期修正大血管転位に対する治療-現状と侵襲的介入について-
キーワード:修正大血管転位, 成人期, 経過
近年の先天性心疾患治療進歩の恩恵による成人先天性心疾患症例の増加は周知のことであるが、成人期複雑先天性心疾患に対する治療は今後の課題の一つである。その中でも、修正大血管転位はまれな疾患(先天性心疾患の1%未満)であり、その多岐にわたる解剖学形態、心内合併疾患により様々な症状を呈すがゆえに、個々の症例に対するテーラーメードの治療戦略が必要である。つまり、新生児期から外科的治療介入が必須な症例から、成人期まで治療介入が必要ではない症例まで幅広い循環動態が認められ、成人期症例では、Fontan循環や複数回の手術介入が行われた症例、未治療でほぼ問題なく日常生活を送ることができる症例など多岐にわたる状態を経過観察しなくてはならない。今回、当院成人先天性心疾患外来にて経過観察を行っている修正大血管転位症例をサーベイし現状を報告する。過去5年間に、当院外来受診歴のある成人期修正大血管転位症例のうち、二心室型循環を有する症例は18例であった。年齢は20歳から77歳、中央値50歳。心内疾患を有し小児期にfunctional repairを受けた1例は体心室不全のため死亡。残る17例中、FO(ASD)を除く心内疾患を有する症例は9例で、うち6例(5例functional repair)は成人に至る前に手術介入を受けていた。残る3例はVSD、PSもしくはPSを合併した症例で、1例はIEにより28歳時に手術介入を受け、他の2例(21、23歳)は未修復で経過観察中である。心房短絡以外の心内疾患のない8例のうち2例は、成人期に体心室房室弁置換(54、55歳時)を受け、現在NYHA2から3度で心不全治療中。外科的介入を行っていない6例は20歳から58歳、中央値50歳であり、体心室EFが44から60%、NYHA1から2度で経過中である。現在体心室房室弁置換適応は体心室EF40%としているが、今後の症例の蓄積によるさらなる検討が必要である。