[I-PPD1-1] ASDの最適な治療法の追求ー紹介する側の施設の現状と課題ー
Keywords:ASD, カテーテル治療, 心房中隔欠損症
【背景】当院は宮崎県唯一の小児心房中隔欠損(ASD)外科手術可能施設である一方で、県内にASDカテーテル治療可能施設がなく、これまで体重12kg以上で広範囲な辺縁欠損のない症例を中心に県外施設へ紹介し、カテーテル治療を依頼してきた。デバイスや技術の進歩によりASDカテーテル治療の対象は年々拡大しているが、外科的閉鎖を選択される症例も一定数存在する。【目的】当院のASD治療症例において、治療選択とその背景、特徴について明らかにする。【方法】2013年4月~2023年12月に当院でASDの治療方針を検討し治療を終えた合併心奇形のない68例について後方視的に検討した。【結果】治療時年齢中央値6.0(3.0-8.25)歳<中央値(第一-第三四分位数)>、女60.3%、診断時年齢0.5(0.25-6.0)歳、診断契機は、心雑音40例(61.8%)、学校心臓検診 13例(19.1%)、心エコースクリーニング 10例(14.7%)、心不全症状 3例(4.4%)、胎児診断 2例(2.9%)で、治療選択はカテーテル治療37例(54.4%)、外科手術31例(45.6%)であった。いずれの群にも治療関連不整脈や死亡例はなかった。外科手術症例には体重12kg未満15例、大動脈辺縁単独欠損1例、それ以外の辺縁欠損20例(うち9例はカテーテル治療実施施設で適応を判断)が含まれていた(重複あり)。いずれにも当てはまらない4例中3例は社会的背景から外科的閉鎖を選択されていた。【考察】過去10年間ではカテーテル治療の割合は54.4%にとどまった。これまで外科手術を選択した症例の多くを、低体重症例と辺縁欠損症例が占めた。近年のカテーテル治療対象の低体重化と辺縁欠損症例への対象拡大の流れに伴い、カテーテル治療症例が増える可能性がある。