[I-PPD1-2] 高リスク症例に対する経皮的心房中隔欠損閉鎖術
Keywords:経皮的心房中隔欠損閉鎖, カテーテル治療, 心房中隔欠損症
【背景】経皮的心房中隔欠損閉鎖術(TC-ASD)には重篤な合併症やそのリスク因子が知られており、リスク症例に対するTC-ASDの適応は施設・術者により大きく異なる【目的】当施設群での過去の高リスク症例における治療実態およびTC-ASDの成績を評価し、リスク因子の臨床的意義を評価する。【方法】2014年から2023年までの10年間に二次孔欠損ASDの閉鎖を施行された患者(試行時20歳未満)の中で、施行時体重15kg未満・大欠損(25 mm 以上 or 体重の1.5倍以上)・3個以上の多孔欠損・rim欠損(bald aorta、他部位はrim長5mm未満)のどれかを有する患者を高リスク症例とし、最終的な閉鎖方法の内訳とリスクの保有率、TC-ASD手技成功率や治療後の合併症について調査した。【結果】期間中の全536例中477例(89%)はTC-ASDで、56例は開心術で閉鎖された。155例(全体の29%)が1つ以上のリスクを有し、その内訳(重複あり)は低体重が67例、大欠損が45例、多孔欠損が25例、bald aortaが53例、その他rim欠損が58例であった。TC-ASD施行率はリスク因子の有無で有意差を認め(有 71%、無 98%、p<0.001)、開心手術群でTC-ASD群より特に多かったリスクは大欠損と後下縁rim欠損であった(53% vs 15%、53% vs 23%、ともにp<0.001)が、低体重やbald aortaの保有率には有意差を認めなかった。TC-ASDを試みた患者においては、高リスク症例(R群、120名)ではリスクの無い症例(C群、367名)と比較しTC-ASDの手技成功率(93% vs 99%, p<0.001)は劣るが合併症率(4.2% vs 1.4%, p = 0.08)には有意差を認めなかった。合併症の内訳は軽微な不整脈7例、血小板減少2例、輸血を要する貧血1例であった。【結論】大欠損および後下縁欠損症例では手術を選択されることが多かった。高リスク症例では手術が選択されやすかったがTC-ASDは高い成功率を持って安全に施行できた。