[I-PPD1-5] ASD外科的閉鎖術例の振り返りからdevice closure適応拡大を考える-device closure未実施施設の経験から-
Keywords:ASD, 閉鎖栓留置術, 外科的閉鎖術
【背景と目的】当院は年間200例以上の先天性心疾患手術を担う施設だがASD閉鎖栓留置術(DC : Device Closure)はこれまで実施しておらず, 必要例は近隣施設に紹介してきた. 同一施設でDCの選択がない環境で, どのような例に外科的閉鎖術(SC : Surgical Closure)が実施されてきたか把握することは, さらなるDC適応の模索, 拡大に繋がるのではないか.【対象と方法】2016年1月~2023年12月末までに当院でSCを行ったASD全81例について診療録を後方視的に検討した. ASD以外に有意な心臓形態異常を伴う例は除外した. 【結果】81例は男子45, 女子36, SC時の年齢中央値4.5歳(0-14), 体重15.4kg(6.1-46.1) であった. 遷延性の肺高血圧により7例(21trisomy 6例, 早産児 CLD 1例)は乳児期~幼児期早期{月齢中央値14(5-18), 体重6.5(6.1-9.4)}で積極的にSCを実施したが, それ以外の例は待機的に, 家族と相談の上で時期を決定した. DC希望があるにも関わらず体重増加不良でSCを選択したのは2例であった. 経食道心エコー(TEE : Transesophageal Echocardiography)でDC適応外と判断されたのは10例, 当院で実施した経胸壁心エコー(TTE : Transthoracic Echocardiography)のみで適応外と判断されたのは17例であった. TEEもしくはTTEによる評価の有無に関わらず, DCを希望されない例が41例存在した.【考察】当施設ではDC希望(或いは迷われている)例は積極的に近隣施設を紹介している. しかし同一施設でDC, SCの両選択があれば, より積極的なDC提案, 積極的なTEE実施により適応は拡大する可能性がある. つまり一定数以上の手術を担うhigh volume centerではDC実施が可能であることが望まれる. 一方で少なからずSCのみを希望される例が存在することを認識しておく必要がある. 我々が目的とすべきは, 患者に寄り添い多様な選択肢の中から最善の治療を選択することであり, DC実施割合が増加することはそのための一つの目標(指標)である.