[I-PSY1-2] 総肺静脈還流異常,還流静脈狭窄を伴う機能性単心室に対する新生児期還流静脈ステント留置術
キーワード:総肺静脈還流異常, ステント留置術, 機能的単心室
【背景】重度の狭窄性肺静脈還流異常(oTAPVC)を伴った機能的単心室(fSV)の右側相同心(RIH)新生児に対する外科治療成績は不良である。低侵襲なDraining vein stenting(DVS)は患児の転帰を改善するか?【目的】fSVとoTAPVCを伴ったRIH新生児に施行したTAPVC修復術(TAPVCR)とDVSの転帰の比較検討。【方法】1997年-2017年に国立循環器病研究センターでTAPVCR(11例、在胎週数37-40、体重2.4-3.4kg、男8)またはDVS(9例、36-40週、2.4-3.5kg、男5)を施行した上記疾患新生児20例において、患者背景、初期介入治療後経過、その後の介入治療、転帰(観察期間6-2607日)を2群間で比較した。【結果】DVS群:日齢0-12日に6mm径PalmazGenesisステントを1-4個留置し,平均圧較差は12から1mmHgへ改善。肺血管抵抗低下後の日齢17-55日に肺血流調節手術(PFAS)を施行し、7例が生存退院(77%)。その後、別の部位も含めたDVS追加0-2回、7-10mm径balloonを用いたstent再拡大1-5回を施行。中央値月齢8に次期手術施行:4例はTAPVCRと同時に、2例はTAPVC後に両方向性Glenn(BDG)へ到達(66%)。4例がFontanへ到達。TAPVCR群:日齢0-25にTAPVCRとPFASを施行。術後3例が生存し、BDGへ到達(27%)。1例のみFontanへ到達。【結論】RIH, fSV, oTAPVC新生児に対するDVSは救命率を著明に改善し、その後高率にBDGへ到達する。BDG後は条件が良好ならFontanへ進み,不良ならBDGに留めておくのが生存率を更に上昇させる治療方針と思われる。【追加症例】2018年-2022年に沖縄県立南部医療センター・こども医療センターで同疾患の3症例に新生児期DVSを施行した。1例はTAPVCR後,Norwood BDG後にFontanへ到達;2例はTAPVCRとBDG同時施行,1例はFontanへ到達,1例はFontan待機中。