[I-PSY1-5] 総肺静脈還流異常症を有する機能的単心室に房室弁逆流が与える影響
キーワード:単心室, 総肺静脈還流異常症, 房室弁逆流
【背景】総肺静脈還流異常症(TAPVC)を伴う機能的単心室症の5年生存率は31-58%と報告されさらなる治療成績の改善が望まれる。【対象と方法】対象は2011年から2023年までにTAPVC修復術を行った機能的単心室症例30例。28例(93%)が右側相同。TAPVC修復術時日齢中央値15日(範囲0-268日)、体重中央値3.24kg (範囲2.16-6.15kg)。12例が肺動脈閉鎖を合併。肺静脈還流路へのステント留置はUniforcalizationを要する主要体肺動脈側副血管を伴った1例のみ。コホートを、TAPVC修復術を行った後にmoderate以上の房室弁逆流が残存した7例をGroup1、mild以下に留まった23例をGroup2とし、外科的治療成績を後方視的に検討(6例で房室弁形成を併施、Group 1: N=3, Group 2: N=3)。検討項目は1. 生存率、2. 術後肺静脈狭窄(pPVO)回避率、3. Fontan到達率。【結果】追跡期間中央値6.0年(範囲:0.1-12.9年)、追跡完遂率100%。期間内に、Group1で3例、Gourp2で8例に房室弁形成を追加施行した。1.術後1年、5年での累積生存率はそれぞれ、全症例で79.7%、71.4%、Group 1で57.1%、38.1%、Group2で89.6%、81.8%であり、Group2で有意に高い生存率を示した (log-rank: p= 0.0154)。2. 両群間における術後1年のpPVO回避率には明らかな差は無いものの、Group1で低い傾向にあった(Group1 vs Group 2: 53.5% vs 74.4%; Log-rank p=0.0819)。3. 全症例中、14例(46.6%)がFontan手術に到達し、5例が次期手術を待機中。両群間でFontan到達率に差は無し。【まとめ】さらなる外科治療成績改善のために、TAPVC修復術時の房室弁逆流の制御が重要である。