[I-SY1-1] 大血管位置異常を伴う両大血管右室起始における大血管スイッチ手術の工夫
キーワード:大血管スイッチ手術, 両大血管右室起始, 冠動脈移植
【背景と目的】大血管位置異常を伴うDORVでは大血管関係や冠動脈形態にvariationが多くスイッチ手術の際には症例毎の工夫が必要である。2症例の術前術後画像所見と手術動画を提示する。【方法と結果】【症例1】生後9日男児BW2.7kg, DORV, subpulmonary VSD, Ao右前PA左後,冠動脈Shaher1。LVOT再建はRVOT切開よりePTFEパッチで施行(VSD拡大併施)した。上行Aoが長くスイッチ後の前方突出による肺動脈狭窄回避のため上行Aoを10mm長切除しPA再建パッチとして使用した。RCAがAo9時方向から起始しPAとの距離が遠いためAo NCC壁を用いて右冠動脈を延長, 移植した(sinus pouch法)。PAはLeCompte法で再建し遠位側吻合部を右PA側へスライドさせて左PAの過進展、狭窄を回避した。【症例2】生後27日男児BW3.3kg, DORV, subpulmonary VSD, posterior TGA (Ao右後PA左前), CoA, PDA, 冠動脈Shaher9, bil. PAB後。LVOT再建はRAより施行(VSD拡大併施)。CoAはEEEAで修復。先に肺動脈を後方で再建し(original Jatene)、症例1同様に吻合部を右側へスライドした。次に大動脈を再建。冠動脈はLCAの屈曲予防と肺動脈からの圧迫回避のため0時方向、高位へ移植。RCAはValsalva拡大予防のためpunch outで再建した。2症例とも大血管、末梢肺動脈、冠動脈狭窄を認めず経過良好である。【まとめ】術前術中解剖所見をもとに狭窄や屈曲、変形リスクを軽減する大血管再建、冠動脈再建が重要と思われた。