第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム1(I-SY1)
動脈スイッチ手術における成績向上のための術式の工夫

2024年7月11日(木) 14:50 〜 16:20 第1会場 (3F メインホール)

座長:小沼 武司(長野県立こども病院)
座長:中野 俊秀(福岡市立こども病院 心臓血管外科)

[I-SY1-4] TGA, Shaher 5aに対する冠動脈移植法の検討

櫻井 寛久, 野中 利通, 大河 秀行, 和田 雄星, 加藤 葵, 前野 元樹, 櫻井 一, 西川 浩, 吉田 修一郎, 吉井 公浩, 小山 智史 (JCHO 中京病院 こどもハートセンター)

キーワード:TGA, Shaher 5a, aortocoronary flap

Shaher 5aは左右冠動脈が同一のcuspから起始し、しばしば冠動脈の壁内走行を伴い、治療に難渋する形態である。当院で2010年から2023年までの間にTGA Shaher 5aに対して大動脈スイッチ手術を行った7例に対して手術方法、術後経過について検討を行った。
Auber-Imai法を4例に施行し、Modified Yacoub aortocoronary flap法を2例、Mee法を1例に施行した。全例、冠動脈壁内走行部分に対してunroofingを行っていた。Auber-Imai法ではold aortaの壁を有茎または遊離で採取し、old aortaの壁にcusp様の形態となるように縫合した上で、離断している上行大動脈と再吻合し冠動脈の移植、新大動脈の移植を行った。Mee法ではunrfooingののち、左右それぞれの冠動脈に切り分けて、冠動脈のボタンを拡大するためにold aortaの壁を一部パッチとして採取し、冠動脈ボタンに吻合し、冠動脈ボタンのサイズアップを行い、trap door法に準じて冠動脈の再建を行った。Modified Yacoub aortocoronary flap法ではunroofingののち、左右の冠動脈口が一塊となった大きな冠動脈ボタンをold aortaから切り離し、まず新大動脈の後壁を吻合した上で、冠動脈入口部の位置が変わらないところで冠動脈ボタンの上方と新大動脈壁の吻合を行い。大きな欠損部を補填するフードとなるようにグルタールアルデヒド処理した自己心膜でポーチを作成し、新大動脈の再建、冠動脈の移植を行った。最初の1例がunroofingが不十分であったためか退院後早期に突然死となったが、その後6例は全例生存、経過良好である。ビデオにてそれぞれの手技の詳細を供覧する。