第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム2(I-SY2)
データ駆動時代の川崎病研究:オミクス解析から人工知能まで

2024年7月11日(木) 08:00 〜 09:30 第3会場 (4F 409+410)

座長:岡田 清吾(山口大学大学院医学系 研究科医学専攻 小児科学講座)
座長:濱田 洋通(千葉大学大学院医学研究院 小児病態学)

[I-SY2-1] AIモデルを用いて川崎病疫学から病因を検討する

柴田 欣秀 (岐阜工業高等専門学校 電気情報工学科)

キーワード:川崎病, AIモデル, 疫学

川崎病が1967年に発見されてから60年以上が経過しているが、未だに川崎病の発症原因は不明となっている。2020年から発生した新型コロナウィルス流行により、川崎病の疫学に変化がみられた。新型コロナウィルス流行により人々の衛生環境が変化し、2020年は小児飛沫感染が激減した。その影響で、川崎病の患者数も例年に比べて4割程度減少したことが観測された。この結果より、小児飛沫感染症が川崎病発症に寄与している可能性が示唆されたが、感染症が激減している状況でも例年の6割程度の川崎病患者が存在しており、川崎病の発症原因が多岐にわたる可能性があるのではという考えも出始めている。 1970年から50年に渡り自治医科大学を中心に川崎病全国調査が実施され、今までに27回の疫学調査が実施された。この川崎病全国調査では約45万件のデータが蓄積されており、川崎病はもとより医学界における貴重なビックデータとなっている。岐阜高専を中心としたチームではこのビックデータをデータベース化し、機械学習を用いた川崎病発症原因の解明を目指した研究を推進している。近年では機械学習の進化は目まぐるしく、医療業界にもかなり進出し始めている。特に画像解析の分野での成果は突出しており、AIを用いた医療画像診断は急速に発展している。本講演では疫学研究と機械学習に焦点をあて、疫学研究に機械学習がどのように貢献できるかを紹介する。また、近年話題となっているデータ駆動型研究の紹介や川崎病全国調査データを用いた機械学習モデル作成の研究に関して紹介する予定である。さらには、川崎病全国調査データの性質や疫学データを用いた場合の機械学習モデル作成の問題点なども紹介する予定である。