[I-SY2-5] 循環器疾患診療実態調査 (JROAD)-DPCによる川崎病遠隔期成人のデータ解析
キーワード:川崎病, 移行期医療, 急性冠症候群
【背景】冠動脈後遺症を合併した川崎病(KD)既往者が成人期に至り、成人診療上の問題である。しかし、KDに関連した重症循環器病入院した成人の全国レベルの実態は不明である。【仮説】重症心血管病で治療入院したKD成人において、紹介外入院が集中治療実施、入院死亡と関連すると仮説を検証した。【方法】日本循環器学会循環器疾患実態調査-DPC全国データ(2013年4月-2020年3月)を用いて、KDの成人患者(15歳以上)の中で、下記の4群を重症循環器病入院と定義し、解析した。【結果】総計699例、男性が75.3%、年齢の中央値は36歳(quartiles: 23-44)、Body mass index(BMI)は22.7(20.1-25.6)で、内訳は、急性冠症候群(ACS)(n=117)、カテーテル治療(PCI)(84)、冠動脈バイパス手術(CABG)(90)、および心不全/不整脈群(他の3つのグループに含まれないもの)(408)であった。年齢分布は、10歳台後半と30歳台後半の2相性であるが、ACSは30歳台後半の1相性であった。入院時併存症では、高血圧32.5%、糖尿病8.2%、脂質異常症32.6%、CKD1.1%、喫煙25.0%であった。紹介外入院が14.3%で、心不全治療が55.7%、不整脈治療が77.4%に施行された。アウトカムでは、集中治療が27.6%、入院死亡が1.3%であった。多変量解析では、ACS+心不全/不整脈群において、紹介外入院が集中治療管理(p=0.02)と入院死亡(p<.001)に相関した。【結語】川崎病既往成人の循環器疾患入院例は、若年成人男性で、BMIは正常範囲であるが、喫煙習慣、高血圧、脂質異常症を伴っていた。ACS+心不全/不整脈群において紹介外入院が予後と関連した。この結果は、冠危険因子の成人期病態への関与とKD患者の成人移行の重要性を示唆する。