第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

委員会企画パネルディスカッション

委員会企画パネルディスカッション3(II-CPD3)
学校心臓検診のデジタル化に向けての課題と取り組み

2024年7月12日(金) 09:40 〜 11:10 第4会場 (4F 411+412)

座長:岩本 眞理(まり こどもクリニック港南台)
座長:三谷 義英(三重大学大学院医学系研究科小児科学)

[II-CPD3-3] 学校心臓検診のデジタル化に向けての課題と取り組み

三谷 義英1, 山岸 敬幸2, 岩本 眞理3, 土井 庄三郎4, 鮎澤 衛5, 檜垣 高史6, 牛ノ濱 大也7, 長嶋 正實8, 原 光彦9, 井ノ口 美香子10 (1.三重大学大学院医学系研究科小児科学, 2.東京都立小児総合医療センター , 3.済生会横浜市東部病院こどもセンター, 4.東京医療保健大学立川看護学部, 5.神奈川工科大学健康医療学部, 6.愛媛大学地域小児周産期講座, 7.大濠子どもクリニック, 8.あいち小児保健医療総合センター, 9.和洋女子大学 家政学部 健康栄養学科, 10.慶應義塾大学保健管理センター)

キーワード:学校心臓検診, 医療DX, 心電図

学校心臓検診の対象疾患の早期診断における学校心臓検診の有用性が報告された。しかし、全国調査(学校保健会)によれば、県別要精検率、要管理率は、それぞれ1.4-8.3%、0.3-2.1%と6-7倍の差があり、学校心臓検診の判読の精度の地域差が示された。また、過半数の自治体で心臓検診判定委員会の有無、検診の未受信者の把握、総括的な報告など不明とされ、心電図の判読、精度管理の全国的な標準化、近てん化が課題とされた。2021年の文部科学省の調査で、検診結果は、約90%は保護者に紙で返却されていた。また、実態調査が待たれるが、学校心臓検診の心電図判読、問診票のデジタル化されている地域は極めて少なく、紙での運用が多いと考えられ、デジタル化されている地域でもデータの受け渡しはUSBの地域が大部分とされる。以上から、学校心臓検診の紙ベースの運用に関わる業務の効率化が望まれる。災害時対応、学校保健業務、校医業務の効率化は、検診の事業継続性、働き方改革からも今後重要と考えられる。現在、文部科学省で進められる検診情報のパーソナルヘルスレコード(PHR)化、政府の進める医療DXにおけるビッグデータ化の前提として、検診実務のデジタル化が最初の第一段階と考えられる。第一段階のステージとして、心電計がデジタル非対応での紙ベース判読から、デジタル保存可能であるが紙ベースで判読、心電図はデジタル判読しているが問診は紙ベース、心電図、問診もデジタルで判定であるがUSBでの受け渡し、さらにはクラウド対応がある。第一段階は、既に実務段階であり、部分的には県、市レベルで採用されている。スマートフォンを用いた問診のデジタル登録、問診・心電図保存・心電図判読と総合判断のクラウド活用、広域のデータ解析、個人のPHR管理は、これからの課題である。学会での調査、学校心臓検診DXに向けての提言について報告する。