[II-CPD4-3] 多職種チームにおける小児循環器疾患患者のCT検査時の鎮静の検討
Keywords:小児, 鎮静, 心臓CT
2013年に日本小児科学会・日本小児麻酔学会・日本小児放射線学会から「MRI 検査時の鎮静に関する共同提言」の改訂版が公表された。その大きな目的は、より安全に患者の鎮静を行う基準を示すことで、①その内容となる説明と同意、②患者の評価、③緊急時のためのバックアップ体制、④鎮静前の経口摂取の制限、⑤患者の監視、⑥検査終了後のケアと覚醒の確認、という6 項目に医療安全の基本的な視点を持たすことにある。一方で、小児の鎮静における有害事象を経験した施設は25%(低酸素血症22%、呼吸停止7%、徐脈2%、心停止0.6%)に登り、看過できない。2015年当院では、医療安全管理室を中心に多職種のワ-キングチームを発足し、検査・処置のための鎮静薬使用の指針及び手順を整備した。手順は、全身麻酔薬・経口薬や座薬・向精神薬の注射薬ごと分類し、入院と外来別に検査予約から検査後にわたる、各職種の役割及び対応を定めた。重要事項として、全身麻酔薬による鎮静はすべて麻酔科医もしくは小児集中治療科医が行うことと明記し、必要となる書類を作成し、モニタリング方法や検査後の覚醒基準等も決め、運用してきた。循環器領域では、2021年256列CT装置導入で、心臓CT撮像はほぼすべて全身麻酔薬でない鎮静薬の運用となった。心臓CTは循環器診療にとって重要な検査であるが、MRIとは撮影環境の特殊性や撮影時間が異なる。しかし、鎮静薬を用いた鎮静時の心停止頻度は全身麻酔中の心停止頻度とほぼ同等で、生命への危険性をはらんでいる。よって、上記①~⑥に沿って施行し、鎮静の適応基準をより明確化、さらに使用する薬液量の基準を設けて、実施医や看護師が不安な際に上級医に相談できる体制を整備し、実施している。小児の検査ための鎮静は、医療安全管理部門を核とした多職種チーム形成のもと、使用する鎮静薬の種類を問わず、リスクへの共通認識をもって対策に取り組むことが、患者、そして医療者の安全に繋がる。