[II-JS-1] Fontan術後に合併する肝細胞癌 ~診療の実際と今後の課題~
キーワード:Fontan手術, FALD, 肝細胞癌
Fontan手術は、本邦では年間400例、米国においては年間1000例が実施され、機能的単心室症に対する標準治療として確立されている。現在の術後30年の生存率は80%を超えるようになり、多くの患者で成人を迎えることが期待されている。一方で、術後遠隔期の合併症としてFontan関連肝疾患(FALD)が注目されるようになった。
2005年、Ghaferiらは、Fontan術後18年の剖検例で、FALDに合併した肝細胞癌(FALD-HCC)の初めての症例を報告した(The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery 2005)。以降、FALD-HCCの報告件数は増加傾向にあり、予後に強い影響を与える重要な遠隔期合併症として認識されるようになった。しかし、FALD-HCCに関するエビデンスは乏しく、現時点で発癌サーベイランスの方法や、診断基準および治療ストラテジーは確立されていない。また、Fontan術後の肝臓にはFALD-HCCとの鑑別が困難な再生結節、限局性結節性過形成、肝細胞腺腫など様々な良性腫瘍が合併する傾向にあり、臨床上の対応を更に難しくしている。このような背景から、診療ガイドラインの策定は喫緊の課題となっている。
FALD-HCC患者は今後さらに増加することが予測されており、肝臓を専門とする医師はもとより、Fontan手術に関わる全ての医療スタッフにおいても、これらの問題について深く理解しておく必要がある。
本セッションでは、当院での臨床経験を交えながらFALD-HCCに関する最近の知見について概説し、Fontan術後患者が抱える課題を明らかにする。
2005年、Ghaferiらは、Fontan術後18年の剖検例で、FALDに合併した肝細胞癌(FALD-HCC)の初めての症例を報告した(The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery 2005)。以降、FALD-HCCの報告件数は増加傾向にあり、予後に強い影響を与える重要な遠隔期合併症として認識されるようになった。しかし、FALD-HCCに関するエビデンスは乏しく、現時点で発癌サーベイランスの方法や、診断基準および治療ストラテジーは確立されていない。また、Fontan術後の肝臓にはFALD-HCCとの鑑別が困難な再生結節、限局性結節性過形成、肝細胞腺腫など様々な良性腫瘍が合併する傾向にあり、臨床上の対応を更に難しくしている。このような背景から、診療ガイドラインの策定は喫緊の課題となっている。
FALD-HCC患者は今後さらに増加することが予測されており、肝臓を専門とする医師はもとより、Fontan手術に関わる全ての医療スタッフにおいても、これらの問題について深く理解しておく必要がある。
本セッションでは、当院での臨床経験を交えながらFALD-HCCに関する最近の知見について概説し、Fontan術後患者が抱える課題を明らかにする。