[II-JS-4] Fontan術後症例におけるFontan関連肝合併症の発症予測に関する肝線維化マーカーの有用性
Keywords:Fontan, FALD, 単心室
【目的】TCPC術後の患者において、肝線維化マーカーでFontan関連肝合併症(FALD)の発症を予測すること。【方法】対象は関連3施設で2004-2020年にTCPCを施行、術後3年以上followしている151例を対象。TCPC施行月齢は27か月 (IQR:17-43)。FALDは血液検査でAST、ALT、T-Bil、γ-GTP、PTの上昇や血小板数、Albの低下など2項目以上で異常値を示し、かつエコー検査、CT、MRIなどの画像検査で肝線維化や肝硬変の所見を認める症例と定義。術前および術後の血液検査から、肝線維化マーカー(Fib-4 index、APRI score、MELD-11 score)を算出。競合リスクに対する累積発生率はFine-Gray解析で算出。【結果】FALDを23例(15%)認め、FALD累積発生率は5年で2.9%、10年15.4%、15年41.3%であった。TCPC術後10年でのFALD発症予測は、術後2年でのFib-4 index (Fib-4 2year)が肝線維化マーカーの中で最も鋭敏で (AUC: 0.82)、cutoff値は 0.17 (感度 0.84、特異度 0.73)。Fib-4 2year>0.17をF群、Fib-4 2year ≦0.17 をN群とした。FALDの累積発症率は術後5年でF群2.4%、N群 1.9%、10年でF群 45.8%、N群 3.9% (P=0.001)。FALD発症に対するCox比例ハザードでFib-4 2yr>0.17は危険因子であり(HR: 2.98、(95%CI: 1.12-7.96)、P=0.03)、術後2年のT-Bil>0.5mg/dL(HR: 6.30、(95%CI: 1.50-26.54)、P=0.01)も危険因子であった。【結論】TCPC術後2年のFib-4 indexはFALDの発症予測因子として有用である可能性が示唆された。