[II-OR14-01] 当院における小児がん治療後の心筋障害のフォローアップの現状
キーワード:がん治療関連心筋障害, oncocardiology, GLS
【背景】
小児がん患者では、その治療過程でアントラサイクリン系の薬剤をはじめ、心筋障害を誘発する薬剤や放射線治療が必要となる。2020年に日本でも心エコー図学会からがん治療関連心筋障害(CTRCD)に関するガイドラインが発表され、LVEFに加えてGlobal Longitudinal Strain(GLS)が心筋障害指標として使用されるようになったが、小児におけるデータは乏しく、普及に至らない現状がある。
【目的】
当院の小児がん患者におけるCTRCDフォローの現状を検討すること。
【方法】
2020年4月から2023年7月までに当科で血液・腫瘍疾患と診断し、化学療法単独または化学療法+造血幹細胞移植療法を施行、生存退院した症例の治療前、入院治療終了直後の心臓超音波検査結果、アントラサイクリンの投与量を後方視的に検討した。
【結果】
26症例(男児14例, 年齢 3か月-11歳, 年齢中央値3.5歳)が対象となった。B細胞性急性リンパ性白血病(B-ALL)が12症例を占めた。アントラサイクリンの投与量はドキソルビシン(DXR)換算で中央値135 (範囲0-340) mg/m^2であった。
全例で心エコー検査は治療前後で施行されGLSは21例で1回以上測定されていたが、治療前後のGLS比較が可能であったのは10例であった。そのうちGLSが15%以上相対的に低下した症例を、網膜芽細胞腫(DXR 150mg/m^2)、ホジキンリンパ腫(DXR 160mg/m^2)の2例で認めた。うち1例は退院後1年半が経過するものの、心エコーでフォローがされていなかった。
【考察】
小児腫瘍の約半数を占めるB-ALLではない腫瘍性疾患で相対的なGLS低下が認められた。データに欠損が多く、実際はさらに多くの患児に潜在的な心筋障害を生じている可能性もあり、フォローアップ体制は十分ではないと考えられた。
【結論】
小児のCTRCDについては小児血液腫瘍医のみならず小児循環器医も留意すべき課題であると考えられる。ガイドラインの作成など統一したフォローアップの方針が必要である。
小児がん患者では、その治療過程でアントラサイクリン系の薬剤をはじめ、心筋障害を誘発する薬剤や放射線治療が必要となる。2020年に日本でも心エコー図学会からがん治療関連心筋障害(CTRCD)に関するガイドラインが発表され、LVEFに加えてGlobal Longitudinal Strain(GLS)が心筋障害指標として使用されるようになったが、小児におけるデータは乏しく、普及に至らない現状がある。
【目的】
当院の小児がん患者におけるCTRCDフォローの現状を検討すること。
【方法】
2020年4月から2023年7月までに当科で血液・腫瘍疾患と診断し、化学療法単独または化学療法+造血幹細胞移植療法を施行、生存退院した症例の治療前、入院治療終了直後の心臓超音波検査結果、アントラサイクリンの投与量を後方視的に検討した。
【結果】
26症例(男児14例, 年齢 3か月-11歳, 年齢中央値3.5歳)が対象となった。B細胞性急性リンパ性白血病(B-ALL)が12症例を占めた。アントラサイクリンの投与量はドキソルビシン(DXR)換算で中央値135 (範囲0-340) mg/m^2であった。
全例で心エコー検査は治療前後で施行されGLSは21例で1回以上測定されていたが、治療前後のGLS比較が可能であったのは10例であった。そのうちGLSが15%以上相対的に低下した症例を、網膜芽細胞腫(DXR 150mg/m^2)、ホジキンリンパ腫(DXR 160mg/m^2)の2例で認めた。うち1例は退院後1年半が経過するものの、心エコーでフォローがされていなかった。
【考察】
小児腫瘍の約半数を占めるB-ALLではない腫瘍性疾患で相対的なGLS低下が認められた。データに欠損が多く、実際はさらに多くの患児に潜在的な心筋障害を生じている可能性もあり、フォローアップ体制は十分ではないと考えられた。
【結論】
小児のCTRCDについては小児血液腫瘍医のみならず小児循環器医も留意すべき課題であると考えられる。ガイドラインの作成など統一したフォローアップの方針が必要である。